外免切替制度編(2)免許証の住所「知人宅や宿泊施設でもOK」の危うさ 書類揃えば最短1日、観光客でも運転が可能に
【列島エイリアンズ】 都内のコンビニエンスストアの駐車場に停車中だった自家用車が、大型バンに接触され、破損するという被害に見舞われた米田敬一さん(仮名)。事故報告後に駆けつけた警察官に「あとは当事者同士で」と言われたため、大型バンを運転していた外国人男性の免許証をスマートフォンで撮影し、連絡先の電話番号を聞いて、その場を後にした。 【写真】川口市内を走る過積載の可能性があるトラック。中東系の男性が運転していたという その後は、加入していた保険会社に被害弁済の請求を依頼。停車中のもらい事故ということで、保険会社の担当者も「基本的には相手方の過失100%」と楽観的だった。 しかし、いまなお、相手から弁済は行われていない。保険会社の担当者によると、相手方と連絡が一向に取れないというのだ。 免許証に記載されていた住所を担当者が尋ねたところ、そこは運転手本人の住居ではなく知人宅のものだったことが分かった。その知人によれば、本人は日本に居住しておらず、年に数回、日本に短期滞在しているのだという。 では、〝他人の住所〟で運転免許を取得することなど可能なのだろうか。通常、日本の居住者が免許を取得する場合、住民票の提出により現住所を確認されるはずである。 ■住民票の代わりは「一時帰国(滞在)証明書」 筆者が警視庁に確認したところ、「国内に住民登録のない海外居住の日本人や短期滞在の外国人は、住民票の代わりに『一時帰国(滞在)証明書』を提出してもらうことにより、免許の取得が可能」との回答を得た。 同証明書は、実家、知人宅、宿泊施設など滞在先の責任者や居住者に証明人となってもらい、発行してもらうものだ。実家、知人宅などの場合は、証明人の身分証明書のコピー、宿泊施設の場合は社判・社印の押印を求められる。 実のところ、外国の有効な運転免許証を持っている者が、この手法で「一時帰国(滞在)証明書」など必要な書類をそろえた上で、「外免切替」という制度を使えば、最短1日で日本の免許を取得できる。観光客でも可能で、普通車運転免許に限らず、バイクや大型自動車の場合も同様だ。 筆者は日本人だが、過去にこの制度を利用して、〝日本の免許証〟を取得し、今も保有している。外面切替試験の内容については次回で改めてお伝えする。 =つづく