「人の意見を聞いたってしょうがない」青学大・原晋監督が“自己流”だった頃…妻はハッキリ指摘した「監督のプライドを守るのではなく…」
「人の意見を聞いたってしょうがない」原監督が自己流だった頃
それから監督は、負けず嫌いでもあります。特にこの仕事についてからは、自分はエリートランナーではなかったこと、箱根駅伝を一度も走ったことがないこと(そもそも所属していた大学に出場資格がなかった)を強烈に意識しているようでした。 最初のころは、監督業も自分流でやろうという気持ちがかなり強く、各大学の監督が集まる会合に出席し、実績のある監督と話す機会があっても「人の意見を聞いたってしょうがない」と聞く耳を持ちませんでした。 でも、本当は聞くべき意見はあるはずです。学生とのコミュニケーションにどんな工夫をしているのか、どんなトレーニングを取り入れたら結果が出るようになったのか、監督が優先させるべきことは監督のプライドを守ることではなく、学生を強くすることのはずです。
「監督の妻」だからこそ…
そういったことも、わたしは監督に、はっきり、かなり強い言葉で伝えてきました。監督が客観的な視点を持った人で、いつでも自分は何をすべきかを冷静に考えられる人なら、わたしも口うるさく言わなかったでしょう。わたしがいろいろと言っていたのは、わたしが何か言いたいからではなく、監督にとっては言ったほうがいいと思ったからです。本来、監督は人に何か言われるのが嫌いなのです。だからこそ、わたしが言わなければならない、それが大切な学生と監督に対する責任だと思ってやっていました。
「監督の監督は奥さん」に込められた意味
今は監督も、各大学の監督さんだけでなく、いろいろな人から学び、生かそうとしています。学生への接し方も、以前よりずっとフレンドリーになりました。 当時、わたしに言われたことを、監督も自覚しているのでしょう。「監督の監督は奥さん」という発言には、そういった意味も込められているのかもしれません。《第1回、第2回も公開中です》
(「Number Ex」原美穂 = 文)
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