「LOVE ファッション─私を着がえるとき」が京都国立近代美術館で9月に開催へ。コム デ ギャルソン、ロエベ、ヘルムート・ラングからアートまで、人が服を着る意味を問う
京都国立近代美術館(MoMAK)と京都服飾文化研究財団(KCI)が共同で開催する展覧会
京都国立近代美術館で特別展「LOVE ファッション─私を着がえるとき」が、9月13日~11月24日まで開催される。本展は、京都国立近代美術館(MoMAK)と京都服飾文化研究財団(KCI)が共同で開催する展覧会。KCIが所蔵する18世紀から現代までの衣装コレクションを中心に、人間の根源的な欲望を照射するアート作品とともに、ファッションとの関わりにみられるさまざまな「LOVE」のかたちを通して、人間の普遍的な営みである服を着ることの意味について考える。 見どころは、美しい花柄が広がる18世紀の宮廷服、いまにも動き出しそうな鳥たちがあしらわれた帽子、極端に細いウエストや膨れ上がった袖のドレスなど、着る側と作る側それぞれの熱い「LOVE」から生み出された装いの数々。また、デザインを極限までそぎ落としミニマルな装いの記号へと還元するヘルムート・ラングやヴァージニア・ウルフの『オーランドー』に触発され、時代や性別を超えた衣装で私たちの固定概念を揺さぶる川久保玲(コム デ ギャルソン)など、新たな形や意味を服に込め、別の何かへと変身できる感覚を与える現代のデザイナーの作品も展示。 着るという行為は「私」という存在の輪郭にも働きかける。さまざまな願望や葛藤を抱えながら現代を生きる多様な「私」のありようをアーティストの作品を通して紹介。身近な友人との日常を切り取り、ありのままに生きることを肯定するヴォルフガング・ティルマンスの写真、同世代の女性たちのインタビューを題材に日常と内面を描き出す松川朋奈の絵画、背負う貝殻を変えるヤドカリの姿に人のアイデンティティを重ね合わせるAKI INOMATAの作品など「私」をめぐる問いの現在形を探る。 ■主な出展アーティスト(予定) ファッション(予定) Alexander McQueen(アレクサンダー・マックイーン)、Balenciaga(クリストバル・バレンシアガ、デムナ・ヴァザリア)、Chanel(ガブリエル・シャネル、カール・ラガーフェルド)、Celine(フィービー・ファイロ)、Christian Dior(クリスチャン・ディオール、ジョン・ガリアーノ)、Comme des Garçons(川久保玲)、Comme des Garçons Homme Plus(川久保玲)、Jil Sander(ラフ・シモンズ)、Junya Watanabe (渡辺淳弥)、Kostas Murkudis(コスタス・ムルクディス)、Loewe(ジョナサン・アンダーソン)、Louis Vuitton(マーク・ジェイコブス)、Mame Kurogouchi(黒河内真衣子)、 Maison Margiela(ジョン・ガリアーノ)、Nensi Dojaka(ネンシ・ドジョカ)、Noir Kei Ninomiya(二宮啓)、Noritaka Tatehana(舘鼻則孝)、Pierre Balmain(ピエール・バルマン)、Prada(ミウッチャ・プラダ)、Ryunosukeokazaki(岡崎龍之祐)、Somarta(廣川玉枝)、Stella McCartney(ステラ・マッカートニー)、Thierry Mugler(ティエリー・ミュグレー)、Tomo Koizumi(小泉智貴)、Viktor&Rolf(ヴィクター・ホスティン、ロルフ・スノラン)、Vionnet(マドレーヌ・ヴィオネ)、Yohji Yamamoto(山本耀司)、Yoshio Kubo(久保嘉男)、Worth(ジャン =フィリップ・ウォルト)、ほか アート作品(予定) AKI INOMATA、Wolfgang Tillmans、原田裕規、松川朋奈、横山奈美ほか 京都国立近代美術館(MoMAK)と京都服飾文化研究財団(KCI)は、「浪漫衣裳展」(1980)以来、共同での展覧会をこれまで8回開催。社会、文化、アートの諸問題と結びつくテーマを取り上げ、衣服だけではなく現象としてのファッションの展示を目指す試みは海外でも評価され、パリ市立衣裳美術館(「モードのジャポニスム」1996)や NYクーパーヒューイット国立デザイン美術館(「Fashion in Colors」2005)、ドイツ連邦共和国美術展示館(「ドレス・コード?──着る人たちのゲーム」2021)をはじめ、多数の巡回展が実現。「ドレス・コード?」展では、両館の担当キュレーターが第15回西洋美術振興財団賞学術賞を受賞。本展は彼らが再びタッグを組んで企画する。
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