NISA口座を開いたけど「シニアは投資しないほうがいい」「インフレに対応するには投資が必要」といろいろな情報に惑わされています。どのように投資したらいいですか? ~後編~
前編では、シニアは投資する際の注意点などを確認しました。現役世代とは少し違うスタンスも考慮すべきですが、投資を諦める必要はありません。 後編では、インフレによる将来の資産目減りを防ぐため、老後資金の寿命を延ばす手だてとして、投資と向き合う方法を探ります。
投資商品の選び方
前編で取り上げたシニアに投資は向かないとされる2つのポイント、すなわち「時間の問題」「判断能力の低下」を考慮に入れて説明します。 まず、押さえておきたいことは分散投資です。値動きの異なる資産を組み合わせて持つことで、資産全体の変動を押さえることができます。 投資の世界では「卵は一つの籠に盛るな」と表現されていますが、このことから選択すべきは個別株式ではなく投資信託です。短い時間でもなるべくブレ幅を少なくするためには、投資対象も分散することが大切です。 公的年金を運用管理しているGPIFの基本ポートフォリオは現在、国内外の株式・債券に25%ずつ振り分けられています。大事な年金を運用しているGPIFの手法は、損失回避の参考になります。
(図表1) 「NISAの利用者に人気の商品は何か?」「今売れている商品は?」というと、投資対象が全世界株式や米国株式の投資信託のなかで、「インデックス型」と呼ばれる手数料の安いものが選ばれています(※1)。 「売れ筋なのでこれらを選べばよい」というのは早計です。金融庁のNISAガイドブック(※2)のP.5では、2003年1月~2022年12月毎月末に主な株式指数に1万円を積立投資した場合を比較しています。総積立額は240万円で、全世界株式に連動する商品では690万円に日経平均に連動する商品では443万円になっています。 「20年間積立投資を続けると、このように大きく資産を増やすことができました」ということの一例ですが、運用成果のグラフには凸凹があり、特に2003~2013年の10年間には運用成果が投資金額を下回る年も何度かありました。 シニア世代は若い人に比べると時間が少ないので、ブレを少なくすることを優先すると、バランス型の投資信託がお勧めです。また、全世界型株式などと組み合わせることも一案だと思います。