夜の学校で突然「ドーン」「ガタガタガタ」 ミサイル着弾かと…赤く染まる山頂にくぎ付けに…噴火を経験した私が伝えたいこと
「火山の学校」への思い、背景に浅間山の噴火
長野県松本市で9月1日に開いた「しんまい火山の学校」。子どもたちが楽しみながら学ぶ様子に、運営担当の記者(33)は子どものうちに火山のことを知る大切さをあらためて実感した。思いの背景には、長野・群馬県境にある浅間山の中規模噴火を体で感じた中学生時代の経験がある。 【動画】御嶽山噴火、発生当時の様子
夜の学校で勉強中に…
今年は2014年9月の御嶽山噴火災害から10年。偶然だが、御嶽山の噴火からさかのぼること10年、2004年9月1日の浅間山の中規模噴火が記者にとっての原点だ。当時、記者は佐久長聖中学校(佐久市)の2年生。噴火が起きた午後8時過ぎ、学校の教室で同級生らと授業の復習や宿題に黙々と取り組んでいた。
突然「ドーン」、ミサイル着弾かと…
「ドーン」静寂を破るように突然響き渡った爆発音。まもなく、教室の窓ガラスが「ガタガタガタ」と激しく揺れた。自分も含め、学校にいた生徒や教員は何事かと窓の外を見たが、暗くて何も分からなかった。当時、北朝鮮のミサイル開発が度々ニュースに取り上げられていたこともあり、ミサイルが着弾したのではないかと思ったほどだった。その後は何もなく、迎えに来た親の車で東御市の自宅に向かった。
赤く染まる山頂、テレビの映像に釘付けに
噴火のことを知ったのはその車の中。あまりよく聞こえなかったが、ラジオのニュースが「浅間山が噴火した」と伝えていた。自宅に帰ってすぐにテレビを付けると、暗闇の中、山頂付近が赤く染まる浅間山の映像が流れていてくぎ付けになった。翌日の信濃毎日新聞で、自分が体験した爆発音と振動が、噴火によって生じる空気の振動「空振」だと知った。
活火山と知っていたけれど
浅間山が活火山だということは噴火前から知っていた。東御市滋野乙にある実家からは浅間山が見え、佐久市出身の祖母からは昔の噴火のことも聞いていた。日本史が好きだったこともあり、江戸時代の天明の大噴火で大きな被害が生まれたことも知っていた。母校の佐久長聖中学・高校の校歌も「まっ北に 浅間火の山~」で始まる。 だが、浅間山が本当に噴火する山だということは、噴火を経験するまで実感がなかった。知識で知っていても、「過去のこと」「自分にはあまり関係ない」とどこかで思っていた。