シンガポール沖で船舶衝突、油が流出 黒くなった海岸で回収急ぐ
シンガポール沖で14日、船舶の衝突事故があり、同国南部の海岸線が流出した黒い油で覆われた。シンガポール当局はこの大規模な油流出事故への対応に追われている。 当局によると、油の流出は、オランダ船籍の浚渫(しゅんせつ)船が、停泊中のシンガポールの燃料船に衝突したことで起きた。 浚渫船はエンジン出力を失って燃料船に衝突し、燃料船のタンクが破損したという。 タンク内の少なくとも半分の約400トンの油が流出し、その大部分が海岸に漂着したとされる。 人気リゾート地セントーサ島のいくつかのビーチクラブの利用者は、事故から3日後の17日も海水は黒く油っぽい状態で、臭いも残っていたと報告している。 セントーサ島では当分の間、遊泳など海での活動が禁止されている。国内のほかのビーチも、追って通知があるまで閉鎖されている。 野生生物への影響も懸念されている。貝類などの生物が油で覆われているとの報告もある。 ただ、初期の生物多様性調査では、大きな被害は報告されていない。 国立公園局のカリーン・トゥン博士は、地元紙ストレイツ・タイムズに対し、「同地域のマングローブの植物に油が付着しているのが確認されたが、海洋生物多様性への大きな影響はない」と語った。 しかし、清掃活動に参加したボランティアからは、影響を判断するには時期尚早だとの声が上がった。 シンガポール政府によると約1500人のボランティアが清掃作業を手伝っているが、大半の清掃作業は請負業者が行っている。16日にはセントーサ島の砂浜に押し寄せた黒いかたまりや、油まみれの波をかき分けて油を回収していた。 この観光用ビーチから数メートル離れた場所にあるビーチクラブのスタッフは、17日朝の時点で、海水は「まだ黒い」、「ビーチはオープンしているけど、海にはは入れない。きれいになっていないので」とBBCに語った。 政府は、ビーチの近くや、イースト・コースト・パーク、ウエスト・コースト・パーク、ラブラドール自然保護区の公共公園の水路に、長さ約1.5メートルの油吸着フェンスを配備したとしている 当局の共同声明によると、水面に漂う油を細かく分解し、生物分解を促すための分解剤も散布されたが、分解された後も「潮の流れで海岸線に運ばれる」可能性はある。 当局は、サンゴ礁や海洋生物保護のため一般の立ち入りが禁止されているシスターズ島海洋公園の周辺海域でも「油特有の光沢」が確認されたとしている。 シンガポールは海運と燃料補給の主要拠点で、同国南部の海岸線には数百もの船舶が浮かんでいる。 (英語記事 Singapore races to clean up beaches after oil spill)
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