日米で認識が違う? 菅野智之投手も移籍で注目のFA戦線【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第145回
もちろんヤンキースも慰留に努めました。球団の顔となる選手には、いい契約を提示する。その結果、選手の年俸は高騰します。FAはアメリカンドリームを体現する近道なのかもしれません。 大物はもちろん、それ以外の選手も多く入れ替わるのがメジャーです。メジャーを常に見ている身からすると、選手が入れ替わるのがメジャーであり、刹那的だからこそ「この1年を戦うんだ」という気迫を感じるんですよね。 一方で、日本は頻繁な入れ替わりを想定していません。私が愛するヤクルト戦士が頻繁に移籍していたら、ちょっと寂しいような気もするんです。でも、これはきっと日本のプロ野球的感覚なんでしょう。 FA権を取得しても、球団に忠誠を誓う選手もいます。先日は中村悠平捕手が「生涯ヤクルト宣言」をしました。ファンからしたら、これ以上うれしいことはないのですが、ある意味で「日本的だな」と思う方もいるかもしれません。 ファンとしてはうれしいけれど、選手がもっと自由に、よりよい環境を求めて移籍できる風土を作るのもひとつのありかたかな、と思います。ただ、FA宣言をせずに球団に残ることで、ずっとその球団でプレーしやすくなるといったメリットもあるのかもしれません。 さて、今年のFA戦線ですが、ヤクルトは元楽天の茂木栄五郎選手を獲得しました。FA選手をめったに獲得しないヤクルトの本気を感じると、やはりワクワクしますし期待せざるを得ません。 そして、FA選手を獲得するのは日米問わず、やはり球団の積極的な姿勢を感じます。補強に動いたという事実がファンだけではなく、選手にとってもライバルが増えることで意識が高まり、チームを活性化させます。 FA選手を獲得することでチームは活性化する。特に近年成績が低迷していたヤクルトには"カンフル剤"が必要でしたから、期待をしないほうが無理というもの。FA選手を獲得した各チームから目が離せませんね。 それではまた来週。 構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作