政府の動きは生ぬるい「本気度を示してほしい」 北朝鮮拉致から46年…姉を連れ去られた増元照明さんが今、思うこと
鹿児島県日置市吹上浜で1978(昭和53)年、市川修一さん=当時(23)=と増元るみ子さん=同(24)=が北朝鮮に拉致されてから、12日で46年となった。家族の高齢化が進む中、日本政府は水面下で北朝鮮と接触しているとみられるが、目立った進展はない。増元さんの弟照明さん(68)=東京都中央区=に、北朝鮮にいる家族への思いや日本政府への要望を聞いた。 【写真】〈関連〉拉致問題の主な経過表を見る
-拉致から46年。姉るみ子さんは今年71歳になる。 「何の変化もなく、忘れ去られたように感じる。夏を迎えても、帰国の道筋が見えない。姉ちゃんたちはまた、北朝鮮で厳しい冬を過ごさなければならない。本当に嫌な気持ちだ」 -家族会は2月、全被害者の即時一括帰国を条件に日本の独自制裁解除に反対しない運動方針を決めた。 「賛成はしてない。これまでの米朝関係から明らかなように北朝鮮には圧力しかない。融和的な政策はずっと失敗してきている。『話し合ってください』とお願いするだけでは駄目だ」 -最後の日朝首脳会談から20年。首相は直轄のハイレベル協議を強調する。 「国交正常化に軸足を置いた首脳会談は失敗だった。訪朝後も小泉政権はしばらく続いたが、何もしなかった。解決するためにどんどん動いていれば、こんなに時間がかかることはなかった。あの時の対応が今の膠着(こうちゃく)状態をつくった」 「岸田首相は政権運営が第一で、被害者の救出は最優先事項ではない。最優先なら、こんなに生ぬるい動きはしないはずだ。水面下で接触しても、『拉致問題は解決済みだ』という北朝鮮の姿勢が変わらない限り話し合う必要もない」
-政府に求めることは。 「在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の解体だ。拉致事件を解決しようとしない本国を支持する団体が、日本国内にあっていいのか。被害者を本気で取り戻そうとするなら、それくらいのことはやるべきだ。政府は本気度を示してほしい」 -支援団体「救う会」の現状をどう見ているか。 「毎年、国民大集会を開いて政治家の弁明の場をつくるのではなく、停滞した状況にもっと怒ってほしい。政府が動かないなら、声を上げて批判してほしい。原点に立ち返るべきだ」 -国民の関心は。 「毎月街頭で署名活動をしているが、若い世代の反応は良くない。長く進展がないからだろう。姉はこの国で生まれ、24歳まで過ごした。日本人であることを忘れてほしくない。存在を消さないでほしい」
南日本新聞 | 鹿児島