尹大統領、戒厳令宣布前に経済副首相に文書で「指示」…「戒厳の予備費を確保せよ」
チェ副首相、指示ではなく「参考事項」と主張
内乱罪被疑者の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が、非常戒厳宣布直前に開かれた国務会議でチェ・サンモク副首相兼企画財政部長官に渡した文書に、戒厳軍司令部が執行する財政資金を確保せよという趣旨の内容が書かれていたという証言が出た。 16日に開かれた国会企画財政委員会の全体会議で、ユン・インデ企画財政部次官補は「(チェ副首相が国務会議で受け取った文書の内容が)戒厳関連の予備費など関連の財政資金を確保せよと(書かれていた)と記憶している」とし、「多くは財政関連の話だった」と明らかにした。 3日の非常戒厳宣布の直前に招集された国務会議で、大統領の指示事項が含まれた文書がチェ副首相に渡されたという事実はすでに明らかになっている。チェ副首相は当時の国務会議で、メモ形式の文書を読まずに次官補に預けており、最近捜査機関(警察)に提出したと述べたが、この日の文書の具体的な内容が一部公開されたのだ。チェ副総首相はこの日、受け取った文書の内容を尋ねる質問に「非常戒厳の宣布に反対意見を明らかにした状況なので、文書の具体的な内容を詳しく読まず、すぐにユン次官補に渡した」という趣旨の説明だけを繰り返した。 野党はこれに対し、戒厳軍司令部が「軍政」を続けるための資金を用意せよという趣旨ではなかったかと指摘した。戒厳法第9条2項は、戒厳軍が民間の財産を破壊した場合、現金で補償しなければならないと定めている。この他にも戒厳軍司令部が行政や司法など政府機能を管掌するため、これにともなう資金の執行が急がれる状況だった。このような「統治資金」を用意せよという趣旨ではないかということだ。この日の企画財政委員会会議で、野党「共に民主党」のファン・ミョンソン議員は「非常戒厳を宣布し、戒厳軍を予備費で支援しろと言ったのではないか」と指摘した。 ただし、チェ副首相はこの文書が「大統領の指示事項」ではなく、「参考事項」に過ぎなかったと抗弁した。チェ副首相は「大統領室の実務陣が『参考にしてほしい』として渡した文書で、大統領の指示事項ではない」とし、「当時は余裕もなかったし、すでに戒厳に反対したため、資料について関心もなく、開けてみるつもりもなかった」と強調した。 チェ副首相は、戒厳宣布からわずか1時間後の3日午後11時40分にマクロ経済・金融懸案懇談会を主宰した具体的な情況もこの日公開した。「国民の力」のパク・デチュル議員が「迅速な対応で事前に戒厳を知っていたのではないかという報道もある」と指摘すると、チェ副首相は「3日午後9時40分に大統領が呼んでいるから(大統領室に)来てほしいという連絡を受け、家から私服姿で9時55分頃に到着し、(戒厳関連の)状況を知った」とし、「短い時間だが私なりに反対意見を強く伝え、途中で『F4会議』(マクロ経済・金融懸案懇談会)を招集してそこから出てきた」と述べた。チェ副首相は「戒厳が宣布されたことを知った瞬間、その場で電話で(F4会議を)招集した」と語った。 パク・スジ、チェ・ハヤン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )