静岡大の前学長が古巣を痛烈非難「植民地を手放そうとしない帝国主義国によく似ている」 浜松医大との統合再編めぐり
合意書の承認に関する採決の裏には…
その結果、静岡大側では浜松医大との法人統合等に関わる合意書と確認書について2019年3月19日に開かれた教育研究評議会での採決を経て承認された。 石井前学長によれば、この時に採決を求める動議を提出したのが当時は人文社会科学部の学部長を務めていた静岡キャンパス側の日詰学長で、浜松キャンパス側の出席者からは「こんなに不平等な構成において決を採るのは反対」との意見すら出ていたという。 実は評議員は部局ごとに定数が決まっているため、浜松キャンパス側の評議員は静岡キャンパス側と比べて圧倒的に少ないからで、石井前学長は「数の力で有利だから採決に持ち込めば勝てると思って(静岡キャンパス側が)提案したら、案に相違して負けてしまったというのが正しい経緯」と力を込めた。 石井前学長は決して反対意見を封殺しようとしているわけでも、再編・統合を強要しようとしているわけでもない。 ただ、浜松医大との合意の経緯を知る“当事者”として、「再編反対の理由をなぜ言わないのか?反対を言おうとすると良い理由が思いつかない。それを言うとボロが出るので言わない。反対するなら理由を言ってほしい。反対する理由を言わないで反対している人が多いと言うのは数の横暴」と訴え、「反対論が多いのは自分自身の説明不足というより、そもそも議論をしたくない静岡キャンパスのせい」と怒りを滲ませる。 さらに、この問題について自身が退任してからの3年あまりは「浜松キャンパスの意見をことごとく無視した運営が目立っている」と苦言を呈し、「独立した2つの大学に再編しないと、このような静岡キャンパス主導の運営が今後も続くことになるという危機感が浜松キャンパスではむしろ強まっている。再編に反対する人たちは『静大は1つ』というスローガンを随分と使ったが、植民地を手放そうとしない帝国主義国によく似ている」と痛烈に非難した。
大学自治の独立はどこに…
その一方で、学内における調整がつく前に統合・再編について県や静岡市の同意を得ようとした当時の自分自身の判断については間違いと認め、「大いに反省している。大学が主体的に決定した事項を関係自治体に説明して了解を得ることが正しい流れだった」と振り返りつつ、統合・再編に期待を寄せる浜松市や経済界、近隣自治体が期成同盟会を発足させたことに対して日詰学長が「大学のことは大学に任せ、大学が主体的に決める必要がある」と不快感を示していたにも関わらず、静岡キャンパスの教職員が静岡市の政財界に統合・再編反対に向けた要請行動を“仕掛けた”ことは「自分たちの意見が学内で通らないからといって自治体を無理やり大学運営に介入させたのが静岡キャンパスの教職員であり、大きな禍根を残した」と憤る。 石井前学長は従前から静岡と浜松の両キャンパスから独立的な運営をした方がよいとの考えを持っていて、そんな折に浜松医大側から“1法人2大学”についての打診があったため、「静岡大学にとっても長年の懸案であった医学部を同じ法人に入れるという大きな目標が成される」との思いから在任中は様々な調整を進めてきた。 それ故に、当初は「合意書を尊重する」と話していたはずの日詰学長の“変遷”に懐疑的な目を向け、「歴史を捻じ曲げないで欲しい」と主張する。 1時間半にも及んだ会見では、最後にこうつぶやいた。 「浜医は怒らないで、よく我慢しているな」 (テレビ静岡)
テレビ静岡