静岡大の前学長が古巣を痛烈非難「植民地を手放そうとしない帝国主義国によく似ている」 浜松医大との統合再編めぐり
合意書締結の“当事者”が口開く
こうした中、2024年7月1日に静岡大の石井潔 前学長が会見を開いた。 石井前学長は、大学の運営については現役の教職員が責任を持ってやるべきであり、OBが口出しをするべきではないとの考えから、退任して以降すべての取材を断ってきたものの、3月28日に開かれた静岡大の経営協議会で浜松医大と合意に至ったプロセスの検証を進めていくと報告されたことが公開された議事録から明らかになり、この問題について学長を退いてから初めて口を開くことを決意したという。 冒頭、「自分たちの失敗を前任者に押し付けないで欲しい」と口にした上で、2023年12月に静岡大が“1法人1大学2校案”を大学としての成案とした際に、日詰学長が言及した「学内で合意形成が図られていないこと」と「学生・教職員・関係自治体といったステークホルダーの理解が不十分であること」の2つについてやり玉に挙げた。 まず、石井前学長は「不思議なことに再編・統合の合意の『どこが悪い』という発言は、私が辞めた3年間を含めてほとんどない」と疑問を呈し、「プロセスの話ばかりになっていて、手続き論ばかりになるのは再編・統合案そのものを批判することが出来ないからだと考えている」と指摘。 静岡キャンパスの教職員からは当初、静岡大学の学部数が減ることでブランドイメージが低下するとの懸念が寄せられたものの、受験生に対する意識調査を行ったところ学部数の多寡や大学の規模は志望校選択に影響を及ぼさないという結果が出たことから、その結果を学内の会議でしっかりと示したという。 また、当時、浜松キャンパスとの連携の弱体化を心配する声も挙がっていたが、これについても「静岡大学の歴史は両キャンパスの連携を弱めてきたと言っていい」と反論。 というのも、静岡大学ではかつて浜松キャンパスの学部に在籍する学生も入学から1~2年間は静岡キャンパスで教養教育を履修しなければならなかったが、この制度が撤廃され、2000年からは4年間それぞれのキャンパスで授業を受ける体制に変わったからだ。 このため、石井前学長は「この時点(2000年)で実質的には独立した2つの大学になった」との認識を示し、さらに、これまで浜松キャンパス側から様々な連携を持ち掛けたにも関わらず、ことごとく断ってきたのは静岡キャンパス側だとして、「『連携ができなくなる』と静岡キャンパスの人が言うのは非常におかしなこと」と斬り捨てた。 その上で、「別大学になっても研究や連携の障害にはならない。2大学になったら研究・連携ができなくなるというのは完全な間違い」と述べ、この点についても学内で周知を図ったそうだ。