日本電解、台湾・銅箔メーカーと資本提携。米国新工場向け24億円調達
日本電解は10日、台湾で銅箔製造などを手掛けるLCYグループと資本業務提携を締結したと発表した。提携に伴い、同社グループ会社を割当先とした新株予約権を発行する。調達予定資金額は約24億3200万円で、米国新工場向けの設備資金に充当する予定だ。一方、資本業務提携には販路の相互補完や技術協力、製品ラインアップ充実、北米向けリチウムイオン電池用銅箔拡大の支援などが盛り込まれており、シナジー効果も期待される。 日本電解は2022年8月に、米国での製造販売事業用資金を確保するため第三者割当による新株予約権を発行し、資金を調達しており、銀行借入なども併せて米国で2拠点目の製造拠点となるオーガスタ工場の建設資金を賄う予定だった。ただ、米国での輸入規制や電気自動車在庫増加、回路基板用銅箔の需要低迷などによる販売減で、さらなる資金調達の必要性が強まっており、今年からLCYグループと面談を繰り返していた。LCYグループとはシナジー効果も期待できるとして、今回の資本業務提携に至った。 資本業務提携契約を締結したのは、銅箔メーカーのLCYテクノロジー(LCYT)と、同グループの創業者が100%所有するLCYインターナショナル(LCYI)の2社。LCYTは中国をはじめとする東アジア圏に顧客基盤を有しており、日本や米国を基盤とする日本電解とは顧客ポートフォリオの相互補完が可能になる。LCYTとはライセンス契約を締結し、日本電解から回路基板技術を導入することで、先進運転支援システムや自動車センサー向けなどの車載用電子部品、5G関連製品、フレキシブルプリント基板分野へ参入する。加えてLCYTは日本電解のキャリア付き極薄銅箔の製造技術の供与を受け、半導体分野に進出する可能性もあるとする。 日本電解側は、LCYグループが有する樹脂技術や米国での事業経験、自動車用規格の取得ノウハウなどを活用する方針だ。