玉森裕太の瞳の演技にドキッ…一方“海里”よりも闇が深そうな人物とは?『あのクズを殴ってやりたいんだ』第5話レビュー
奈緒主演、玉森裕太共演の『あのクズを殴ってやりたいんだ』(TBS系)が現在放送中だ。本作は、人生どん底のタイミングで金髪の謎の男に出会ったことで一念発起する、ガチンコボクシングラブコメディ。今回は、第5話のレビューをお届けする。(文・菜本かな)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】玉森裕太の瞳の演技がスゴい…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『あのクズを殴ってやりたいんだ』劇中カット一覧
玉森裕太“海里”の本当の顔
「世界中の人が、あなたのことをなんと言おうと、わたしがそばにいます。味方でいます。だから、自分を壊さないで」 『あのクズを殴ってやりたいんだ』(TBS系)第5話。ついに、ほこ美(奈緒)が海里(玉森裕太)に自分の気持ちを伝えた。その告白は、あまりにもロマンティックで愛に溢れていて。ただ、好きだという気持ちだけではなく、“この人を守ってあげたい”という人間としての愛も込められているように感じて、胸がポカポカした。 「俺だって、やろうとした。みんなが前に進むのを見て。けど...」と泣きじゃくる海里は、いつもの仏頂面とは違っていて、本当の彼はもっとピュアで心優しい人物なのだということが伝わってくる。 わたしたち視聴者は、過去の回想を見ているから、海里が本当はボクシングが大好きで、人間が好きで、たくさんの希望を持って生きてきた人だというのが分かるが、何も見ていないほこ美が、それを見抜けるのがすごい。 「騙されてもいい。わたし、知ってるから。あなたが必死にもがいていることも。本当は、強くて優しい人だってことも。まわりに迷惑をかけないように、わざと遠ざけていることも」 そう言われたときの海里の瞳に、一瞬光が入ったように見えた。「こいつは、何かが違う」と思っているような。でも、素直にはなれずに、つい強がってしまう。きっと、ほこ美はそんな海里の不器用さも全部気づいているのだろう。どんなに虚勢を張ったとしても、「はいはい、分かってるよ」と受け入れてあげる懐の深さが、ほこ美にはある。
海里の心の闇を照らす奈緒“ほこ美”の純真さ
そもそも、ほこ美はなぜこんなにも海里に惚れ込んでいるのだろうか。良かれと思って世話を焼いてあげても、「おせっかい」と突き放され、八つ当たりをされることだってある。ボクシング会場で、「いい加減にしてくれよ。俺は、ここで人を殺してる。本当はここにいるのも、吐き気がするんだよ!」と言い放ったときの海里の表情はあまりにも恐ろしくて、わたしだったら「もう、関わりたくないな」と思ってしまうかもしれない。 でも、ほこ美は海里の虚勢の裏にある本当の優しさや葛藤に気づいているのだろう。7年前の事故から、海里はたくさんの非難の声を浴びてきた。大地の親からは、「大地を返してくれ!」と罵られ、実の父親からも「だから、ボクシングなんてやるなって言ったのに」と突き放される。そして、せっかく前に進もうとしても、“人殺し”というレッテルが邪魔をする。 海里だって、大地のことが大好きだった。それは、過去の回想シーンを見ていれば、分かる。ずっと大地の背中に憧れて、やっと戦うことができた。それなのに、あんな事故になってしまうなんて。 悲しくて悔しくてたまらないのは、海里も同じだと思う。強がってしまうのは、まわりに心配をかけたくないから。自分なんかが悲しんではいけないと思っているのかもしれない。だから、ずっと平気な顔をして、生きてきた。自分には、人生を楽しむ資格なんてないと思いながら。 そんな海里の心の闇に気づいてあげることができるたのは、ほこ美の心がピュアだからだと思う。どんなにひどいことを言われたとしても、その人の裏にある本音を見抜き、その傷を癒そうとしてあげる。「だから、クズに引っかかっちゃうんだよ...」と言えばそこまでだが、海里はほこ美の存在に救われているはずだ。