「本日公休」のフー・ティエンユー監督、黒澤明賞を受賞「この栄誉を台湾映画に」
(東京中央社)第37回東京国際映画祭で黒澤明賞を受賞した台湾の映画監督、フー・ティエンユー(傅天余)監督が5日、東京都内で行われた授賞式に出席した。フー監督は、同賞は監督個人への評価だとしつつ、「この栄誉を台湾映画と分かち合いたい」と述べ、「台湾はどんな物語でも撮れる。これは永遠に最もかけがえないところ」だと話した。 黒澤明賞は世界の映画界に貢献した映画人や映画界の未来を託していきたい映画人に贈られる賞。台湾の映画人ではホウ・シャオシェン(侯孝賢)監督に続いて2人目の受賞となった。フー監督は女性理髪師の物語を描いた「本日公休」で、庶民の生活を温かい目線で描いた手法が高く評価された。 大学時代に黒澤監督作品を全て見たというフー監督。現在、次回作の脚本執筆に励んでいるが、苦しい時にはユーチューブで黒澤監督のインタビューを見て「山に登る時には頂上を見るな。足元を見て歩け。コツコツ上がっていくうちに上に行く。(脚本執筆も)それと同じ」という内容の言葉に励まされていると語った。また、次回作では心理スリラーに挑戦すると明かした。 式典には李逸洋(りいつよう)駐日代表(大使に相当)も出席した。李氏は、フー監督が黒澤明賞を受賞した2人目の台湾人となったことは「この上ない栄誉」だと喜びを語り、今後台湾の新鋭監督や努力を重ねる才能豊かな多くの監督が国際社会で認められ、賞を獲得できるよう期待を寄せた。 今年の黒澤明賞には日本の三宅唱監督も選ばれた。 (戴雅真、楊明珠/編集:名切千絵)