大谷翔平がドジャースの勝敗を左右している!? データ数値で見る”真の貢献度”とは【コラム】
貢献度を現す“2つの指標”とは
勝利への貢献度につき、MLBではWAR(Wins Above Replacement)、WPA(Win Probability Added)の2通りの指標がある。前者は控え選手と比較して積み上げた勝利数、つまり当該選手の存在で何勝積み増せたかを示すもので、野手の場合は打撃・走塁・守備の各要素が加味される。 複数の主体が算出しているが、本稿では米分析サイト『Baseball Reference』のものを取り上げる。後者はプレーごとに計算される勝利の期待値の増加・減少幅の合計値である。 現地時間8月25日時点でのナショナルリーグのWAR、WPAランキング上位は図のとおりである。 大谷選手はリーグ1位のWAR6.6を記録、2位のマルテ選手に0.6ポイントの差を付けている。WPAはプロファー選手に続く4.115を記録している。両指標とも5位以内にランクインしているのは大谷選手だけだ。 MLB全体では、ニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ選手がWARで1位(9.2)に、クリーブランド・ガーディアンズのクローザーであるエマニュエル・クレース投手がWPAで1位(5.272)になっている。野手のWPA1位はヤンキースのフアン・ソト選手(5.165)である。 ドジャースの他の主要野手に関する2024年のWAR(左側)、WPA(右側)は以下の通りで、大谷選手の数値の方が上回っている。 ムーキー・ベッツ:4.2/1.503 フレディ・フリーマン:3.9/1.482 テオスカー・ヘルナンデス:2.9/2.112
”勝利への確率”を現す数値
WPAの計算について簡単に説明したい。MLBの各試合には打席や展開ごとに「勝利の確率」が計算されている。図は、大谷選手が「40-40」を決めた8月23日のタンパベイ・レイズ戦の例だ。 大谷選手が9回裏に本塁打を打つ直前、2死満塁の場面でのドジャースの勝利の確率は65.8%。打った直後はドジャースの勝利の確率は100%になる。 この本塁打に対し、100%-65.8%=0.342のWPAが加算される。打たれた投手からはこのWPAの値が減算される。「34.2%分のチームの勝利の確率を動かした」ことになるのだ。 この計算が全てのプレーに対し行われ、合計が当該試合での当該選手のWPAになる。他の4打席や1盗塁を合わせたこの試合でのWPAは0.311だった。