輸入チーズ過去最高値、令和5年は1キロ782円 輸入港は横浜が36年連続トップに
横浜税関は20日、チーズを海外から輸入する際の通関単価が、令和5年は全国平均で1キログラム当たり782円となり、過去最高だったと発表した。生産地の気候変動による減産などが背景にあるとみられる。港別の輸入数量、金額はともに横浜港が全国1位で、いずれも昭和63年以降、36年連続のトップだった。 全国の輸入量は約25万2000トン、金額は約1970億円だった。チーズの通関単価は約20年間にわたり400~500円前後で推移していたが、令和5年に656円(前年490円)と急騰。円安も響き、6年はさらに2割近く上昇した。 コスト増で、乳業各社は値上げを余儀なくされている。10月に家庭用チーズ3品を6~15%値上げした森永乳業の担当者は「足元の通関単価は750円(今年1~8月)とピークを脱したものの、今後も高止まりが続きそうだ」と見通す。 チーズの輸入相手国は日本と地理的に近い豪州が長年トップだったが、気温の上昇や降雨量の減少で生乳の生産が減少傾向にあり、令和4年に首位がニュージーランドと入れ替わった。5年の輸入量は両国合わせ11万2000トン余りで、全体の約4割を占めている。 一方、港別の輸入シェアは横浜が約41%(金額は約40%)で、神戸18%(17%)▽川崎14%(15%)▽大阪10%(8%)▽東京7%(9%)-だった。横浜と川崎を合わせると、36年連続で全体の5割超を占める。同税関は、関東地方にチーズ加工工場が多いことや、横浜港の冷蔵倉庫が長年使われてきた経緯が背景にあると分析している。