配当再投資7兆円の行方、受け皿はバリュー株か-物言う株主も後押し
アクティビスト
リスクはトランプ次期米政権による関税政策だ。トランプ氏は大統領選で中国からの輸入品に60%、それ以外の国・地域からの輸入品には10-20%の関税を課す方針を示唆した。現実になれば世界の景況感は冷え込む可能性があり、自動車や素材といった景気敏感業種を中心にバリュー株の重しとなりやすい。
ただ、最近はアクティビスト(物言う投資家)が日本企業への投資を拡大しており、株主還元の強化や経営効率の改善につながるとの思惑が株価を押し上げるケースが目立つ。今後、企業に資本効率の向上を求める圧力が一段と強まれば、割安修正を織り込む動きが広がる可能性はある。
京成電鉄と京浜急行電鉄の株価は11月、旧村上系ファンドが株式を取得したとの報道を受けて急騰した。東京ガスや日産自動車も海外著名ファンドなどの保有が判明し、株価が急伸する場面があった。
SMBC信託銀行の山口真弘シニアマーケットアナリストは、陸運企業などが遊休資産や保有株を売却し、資産ポートフォリオを改善するよう求められれば、収益にプラスに働く可能性があると指摘。投資家が配当の再投資先を決める上では、「アクティビストによるバリューアップも一つの切り口になる」との見方を示した。
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Yasutaka Tamura