「落語は想像力磨きにうってつけ」…元TBS青木裕子「失敗や反省も勉強」体験で実践「子育て苦闘記」
「お母さんは、失敗しても挑戦することが大事って言ってるじゃん!」 3月下旬に行われたピアノ発表会への出席を躊躇していた元TBSアナウンサーの青木裕子さん(41)は、息子たちの言葉に背中を押された。恥ずかしいと思いながらも発表会に「挑戦」。名曲『星に願いを』を披露した。青木さんが振り返る。 40代になっても変わらぬ美しさ…元TBS青木裕子「子育てに大奮闘!」素顔写真 「息子たちに学ばされました。確かに、いつも体験することの大切さを話していましたからね。母親の私がためらっているわけにはいきません。ピアノ発表会は息子たちが教室に通っていたご縁で参加しました。ひと様に聴かせるほどの腕前ではありませんでしたが……」 10歳と8歳の男児がいる青木さんが、子育てで重視しているのが「体験」だ。潮干狩りに味覚狩り、蛍鑑賞……。季節に応じて息子たちに旬の体験をしてもらうことを心がけている。 青木さんはライフスタイル誌『FRaU』のウェブサイトに連載していた育児エッセイを書籍にまとめ、4月19日に『3歳からの子育て歳時記』(講談社)として発売。「決して優秀な母親ではない」と謙遜する青木さんが「少しでも面白がってくれたら」という思いで、自身が子どもたちと実践してきた一年を通じた「体験」の具体例とともに、失敗や反省もある子育てエピソードを語る。 ◆「人間も植物も同じ」 「もともと『体験が大切』ということは何となくわかっていました。でも、じゃあどうすればいいのかわからなくて……。みんなが行っているから高尾山(東京都八王子市)に登ってみよう、海外旅行でキレイな風景を見てみようと、特別なことをしなければならないと考えていたんです。 小学校受験を意識し始め、塾の先生などから話を聞いて目からうろこの思いでした。家で簡単にできることでも意識の持ち方によって、立派な体験教育になる。取り組み方によって、楽しみが増えることがわかったんです」 青木さんが、息子たちと実践した体験の一つが家庭菜園だ。 「ベランダやレンタル畑で、ミニトマトやトウモロコシを育てました。当然、植えるだけで勝手に育ってくれるわけではありません。水やりはもちろん、草むしりもしなければならず作業は骨が折れます。せっかく育ったトウモロコシがハクビシンに食べられ、大量のアブラムシに悲鳴をあげたこともある。 でも子どもたちは、人間と同じで植物も簡単には育たないこと、思ったようには上手くいかないことを学んでくれたんじゃないかと思います。花や幹がどんな色や形をしているのかも実感できる。苦労があるからこそ、収穫できた時の喜びはひとしおです。子どもたちは、自分たちが育てた野菜ということで得意顔でした」 アナログな作業も勉強になる。 「例えば夏には、学校の先生や友達に暑中見舞いを書きます。メールやLINEで簡単に連絡がとれるデジタル全盛の時代に、宛名を書くだけでもひと苦労でしょう。一方で、ハガキにどんな絵を描いたら相手が喜ぶか、どういう言葉なら気持ちが伝わるかを考えることは大きな意味があると思います。効率は悪いかもしれませんが、手間をかけることで手紙を受けとる人をより慮れると思うんです」 体験学習は自宅の周辺でもできる。例えばスーパーで果物や魚介類のコーナーを観察すればその時々の「旬」がわかり、図書館に行けば静かに読書しなければならないこと、読んだ本は元の場所に戻さなければならないことなどを学べるという。 ◆「赤江珠緒の~」 子どもの興味や関心を膨らませてあげることも大切だ。 「コロナが流行してすぐ、公共の交通機関でなく自家用車を利用することが増えました。車内ではTBSラジオをかけていました。すると幼稚園児だった次男が放送内容を覚え『赤江珠緒の~』とマネを始めた。どうせマネをするならと思いたち、かけるようになったのが落語です。最初はCD、それから子ども用の落語DⅤDなどをかけました。 息子はすっかりハマりました。勉強の後には寄席に通うようになり、がんばった時のご褒美は落語家になりきれる扇子です。落語は座布団の上で話し手が何役もこなす。想像力を磨くにはうってつけだと思います」 幸い夫で『ナインティナイン』の矢部浩之さんは「そうやな」と青木さんの教育方針に理解を示しているという。それでも時に青木さんは結果を求めていることに気づき、自身の言動に反省しながらも育児を続けている。その苦悩を「一所懸命に子育てをしているママたちと共有できたら」と語る。 ********** あおき・ゆうこ ’83年1月7日生まれ。’05年3月に慶応義塾大学を卒業後、アナウンサーとしてTBSに入社。『サンデージャポン』や『NEWS23X』をはじめ、バラエティ・報道・スポーツなど多くの番組を担当し、天真爛漫な人柄で注目される。’12年12月末にTBSを退社。フリーアナウンサーとして活動。現在はモデル、ナレーションなど活躍の場を広げている。
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