円は対ドル158円付近に上昇、毎月勤労統計で買い-米雇用統計見極め
(ブルームバーグ): 9日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=158円ちょうど付近まで上昇。昨年11月の毎月勤労統計が予想を上回る強い内容となり、円が買われている。
ソニーフィナンシャルグループの森本淳太郎シニアアナリストは、毎月勤労統計を受けて円の買い戻しが入ったと指摘。もっとも、「これだけで日本銀行の利上げ期待が高まっていくのも難しい」ため、米雇用統計の発表を控え「円ロングに傾けづらい」とも述べた。
昨年11月の毎月勤労統計は、基本給に相当する所定内給与が32年ぶりの高い伸びを示し、賃金と物価の好循環が強まっていくとみる日銀の利上げを後押しする内容となった。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、9日の日銀支店長会議で地方の賃上げ状況が良好なら、利上げ期待が高まる可能性もあるとみている。「トランプ政策の不確実性や日銀の利上げがひょっとしたらあるかもしれず、一気にドル買い・円売りを進められない」と言う。
一方、インフレ圧力を高めるトランプ次期大統領の関税政策に対する警戒感が強いため、米国の利下げが後ずれするとの観測から米金利高・ドル高に振れやすい状況も続く。ソニーFGの森本氏は「20日の大統領就任まで、トランプ氏の発言や報道で神経質な展開が続く」と警戒している。
バークレイズ証券の門田真一郎チーフ為替ストラテジストは、米経済指標の強さや連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ慎重姿勢、トランプ氏の関税を巡る発言で米金利高・ドル高の流れだと指摘。ドル・円は「もっぱら米国側の要因で動いている」とし、米雇用統計が強ければドル高・円安が進むリスクがあるとみる。
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Saburo Funabiki