ジェンダーギャップ解消をテクノロジーで時間短縮:咸多栄
9月25日発売のForbes JAPAN11月号では、テクノロジー領域で世界を変えるべく躍進する女性、ジェンダーマイノリティたち30人に光を当てた「Women In Tech 30」を発表した。2024年にはじめて開催し、23人のアドバイザリーボードに協力いただきながら開催した。 「200年かかる日本のジェンダーギャップ解消を、テクノロジーの力で50年に短縮できたら」。そう語るのは、bgrass代表取締役CEO 兼 CTOの咸多栄だ。咸が2022年7月に創業した同社は、女性IT&Webエンジニアのためのハイスキル転職サービス「WAKE Career」の開発・運営を行う。同サービスは23年からサービス開始し、直近4カ月で登録者200%増、登録者数1000人を突破するなど事業成長を続けている。 同サービスの特徴は、国連が提唱する企業の行動規範であるWEPs(女性のエンパワーメント原則)を元に企業のジェンダーダイバーシティを可視化する独自の「サステナブル職場診断」があることだ。同診断では、ジェンダーダイバーシティ推進に必須である「働きがい」「働きやすさ」「フェアネス」を基準に、6つの観点で数値化できる。 掲載希望企業は診断実施が必須で、女性エンジニアにとってはそれらを実現できる企業への転職が可能になる。同社は7月、「多様性ある組織をつくる重要性は理解しているが、何をすればいいかわからない」という企業の声が多いことから、全企業が無料で診断ができるようにした。 「私たちは今、『IT業界のジェンダーギャップを融かす』というミッションを掲げています。対立構造をつくるのではなく、テクノロジーやデータを用いて、仕組みや社会構造を変えるきっかけをつくり、徐々に融かしていきたい」(咸) 咸は大学卒業後、独立系SIer(システムインテグレーター)企業でエンジニアとなり、上場SIer企業、受託Web開発企業とキャリアを積んだ。その過程で、女性エンジニアのロールモデルが少ないことに問題意識をもち、女性エンジニア向けの1on1サービスを個人開発し、コミュニティ運営も行なった。起業当初はそのサービスの事業化を行なっていたが、「社会構造を変化させ、ジェンダーギャップ解消の期間を短くするにはインパクトが弱い。現在の事業に至るまで3回ピボットしました」。 咸が今後目指すのは、企業としてのイグジット(出口)だ。「私たちがIPO(新規株式公開)、M&A(合併・売却)をしたら、ジェンダーダイバーシティ推進関連の市場ができたことを意味します。市場があれば、この分野に続く女性起業家が増えていき、日本全体も変わる。200年かかるジェンダーギャップ解消をみんなで一緒に50年にしていけたら」
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