仙台市でもパートナーシップ制度開始へ 宣誓日の予約始まる 「生きやすくする選択肢」当事者から期待の声
仙台放送
仙台市は性的少数者のカップルを婚姻に相当する関係と認める「パートナーシップ制度」の運用を今月10日に開始します。宣誓日の予約や宣誓に関する相談は3日から始まりました。 仙台市 郡和子市長 「去年11月から制度に関する具体的な議論を始めてもらい、早いスピードで制度のスタートが切れるのは大変うれしい。当事者の方々で不安に思っている人がいたらドアをたたいてもらいたい」 「パートナーシップ制度」は性的少数者のカップルを婚姻に相当する関係と公的に認めて受領証を交付する制度で、導入に向けて議論を続けてきた仙台市は今月10日に運用を開始します。 制度は条例ではなく要綱で定められ、2人とも成年に達していることやどちらかが仙台市内に住んでいるなど要件を満たしていれば、市の職員の面前で宣誓し、宣誓書を提出することで受領証とカードが交付されます。子供がいる場合は受領証に子供の氏名を記載できます。また、受領証の交付により市営住宅への入居申込みや災害時のり災証明書の交付申請などの際、家族同様の扱いとなるため、利用が可能になります。 制度の導入は全国20の政令市では最も遅いものの、宮城県内の自治体では初めてです。 仙台市のパートナーシップ制度を当事者はどう受け止めているのか、性的マイノリティに対する理解を広める活動を続けるトランスジェンダー男性に聞きました。 青葉区で理容室を経営する小野寺真さん。生まれた時に割り当てられた性は女性でしたが、自身の性別の認識=性自認は男性。現在は戸籍上も男性です。小野寺さんは、市民団体「にじいろCANVAS」の共同代表として、性的マイノリティに対する理解を広める活動を続けていて、今回の制度導入には大きな意味があると話します。 ヘアーサロンウイング代表・にじいろCANVAS共同代表 小野寺真さん 「内容はアップデートしないといけないが、日本で宮城県だけが何もしていない空白地帯だったので、まずはスタートできることに少し安心している」 現在、戸籍上も男性である小野寺さんはパートナーの女性と法律上の夫婦であるため、パートナーシップ制度を利用することはありません。それでも「制度は生きやすくするための一つの選択肢だと思う」と話すのは、自身の生き辛かった経験があるからです。 ヘアーサロンウイング代表・にじいろCANVAS共同代表 小野寺真さん 「スカートは女性がはくものと決めつけられていたのが嫌だった。女性です私は、と言いながら歩いていることが裸で歩いている(のと同じ)くらい辛かった。未来も見えないし、目標も立てられない。何かしたいなと思っても必ず女性というものが付いてくるから消えたいなと思ってしまった」 高校卒業後もしばらくは女性として働いていましたが、27歳の時、自分は自分のことを男性だと思っていると周囲に打ち明けたそうです。 ヘアーサロンウイング代表・にじいろCANVAS共同代表 小野寺真さん 「一度も自分の人生をしっかり考えたことなかったので、自分の人生をどうしたらよいだろうと思ったときにカミングアウトしようと思った。全員に、伝えてくれてありがとうと言われた。まさかありがとうと言われるとは思わなかった」 周囲に打ち明け、受け止められたことで前向きに生きられるようになったという小野寺さん。自身の経験を振り返り、パートナーシップ制度の導入はそれ自体が性的マイノリティにとって生きる力になるとした上で、今後制度のブラッシュアップを続けてほしいと話します。 ヘアーサロンウイング代表・にじいろCANVAS共同代表 小野寺真さん 「早く2人の関係を証明したい人たちは使ってもらい、使うことで使いにくさも分かるのでその声を届けてもらいたい。自分たちの街がより生活しやすい街になってほしい」
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