夏の甲子園2度出場の茨城東、部員4人からの挑戦 復活への取り組みに迫る
第106回全国高校野球選手権大会(8月7日開幕、甲子園)の出場を懸けた地方大会が7月に本格化する。茨城では1983、97年と2度、夏の甲子園大会に出場した県立高の茨城東が水戸三、那珂湊との連合チームで7月13日にウェルネスとの1回戦に臨む。4人の部員で奮闘する茨城東の現状と、復活への取り組みに迫った。(取材構成・吉村大佑) 茨城県中部の茨城町にある県立高、茨城東の校舎の一角には夏の甲子園大会を記念した2つの記念碑が設置されている。 開校から6年目の1983年、元巨人投手の加茂川重治を擁して夏の選手権大会に初出場。97年にも出場を果たした(ともに1回戦敗退)。しかし、近年は少子化の流れもあり部員が減少。2021年以降、夏の茨城大会には連合チームとして出場している。 現在の部員は4人(3年生は1人=木野内海澄内野手、2年生は2人=井坂颯真内野手、米坂亮太外野手、1年生は1人=飯村寿也外野手)。ただ、環境には恵まれている。学校の敷地内に両翼94メートル、中堅120メートルの専用グラウンドがあり、雨天練習場も併設されている。守備練習は内野手と外野手が2人ずつに分かれて行い、大友泰河監督(25)と仲澤脩斗部長(26)がアドバイスを送りながらノックを打つ。広いグラウンドを使ったフリー打撃は一人が打っている間、他の選手はティー打撃とバント練習を行う。 硬式野球部を紹介する学校ホームページ(2020年更新)には「かつて茨城県を2度勝ち抜いた茨城東高校も、ここ数年は夏の一回戦負けが続き、低迷。スポーツを題材にした多くのドラマや漫画の第1話をリアルに再現している」と書かれている一方で、「その復活劇もまた、ドラマチックに違いありません」と記してある。 再び単独チームで出場するべく学校も動き出した。今春入学した1年生は定員120人に対し40人。今春、校長として同校に赴任した上田英雄さん(56)はすでに17の中学校と2つの野球チームを回り、受験を呼び掛けている。 茨城東が初めて甲子園大会に出場した1983年、当時中学3年生だった上田校長はアルプススタンドで応援。高校は緑岡に進み、野球部に入った。対戦経験もあり「茨城東の部員は70~80人いました。強かった頃を知っているので、また単独で、茨城東高校のユニホームで試合に出させてやりたい。応援してくれるOBや地域の方に元気を与えたい」と先を見据える。