和田雅成×和田琢磨 道なき道をつくるふたり「作品への愛があれば切り開いていける」
余計な情報を入れないことも、自分を守る上で必要な技術
――では最後に、「道をつくる」が本作のキーワードの一つです。しかし、道なきところに己の道をつくることほど難しいことはありません。2.5次元舞台という世界を一つの演劇のジャンルに高めたのがお二人の世代だと思いますが、お二人の感じた道なき道をつくる苦労や厳しさについてお話しいただけますか。 雅成 やっぱり初めて舞台化する作品に対するさまざまな意見というのはありますよね。特にファンの方の中で強い理想がある作品ほどあります。それを受け止めて頑張ろうと思うこともあれば、挫けそうになることもあって。そういう声に心が疲弊して、1回辞めようと考えた時期もありました。 琢磨 そうだったんだ。 雅成 ありましたね。この作品が終わったら辞めようって。でも結局それも愛があるかどうかだなと。芝居が上手かろうが下手であろうが、作品と役への愛は持つことができるし、そこで勝負ができる。愛さえ忘れなければ、どんな険しい道も切り開いていけるよなって考えられるようになってからは、人の声に惑わされないようになりました。 琢磨 僕はどうだろうな…。もともとまったく演技ができないところから始まって。こんなにできないことがあるんだという衝撃が、お芝居にハマるきっかけだったんです。だから、瞬間瞬間で苦しいことはもちろんあったと思いますが、こうして振り返ってみると大変だったなと思うことはあまりないんですよね。 ――お話を聞いていると、琢磨さんはネガティブを引きずらない精神構造をしているんですね。 琢磨 うちの父親が結構鈍感な人で(笑)。でも、時々鈍感なふりをしているだけだなと思う瞬間もあるんです。それって僕は大事なことだと思っていて。父親は鈍感力という言葉を使っていましたけど、必要以上のものを自分の中に入れない。余計な情報を入れないというのは、自分を守る上で必要な技術のような気がします。 雅成 昔はSNSに書かれたことに対してネガティブな感情になることもありましたけど、結局そうやってわざわざ書き込むということはそれだけ気になっているということだから、それも愛だなと思うようになりました。むしろそうやって目を向けてもらえること自体が、僕らのような職業にはありがたいこと。だから、今はもっと書いてもらえる存在にならなきゃなって気持ちです。 取材・文:横川良明 <公演情報> 舞台「花郎~ファラン~」 【出演】 和田雅成 / 和田琢磨 / 笹森裕貴 / 田中涼星 / 磯野亨 / 松井健太 / 岩田陽葵 / 大鳥れい / 中村まこと / 長谷川かすみ / 富田翔 / 高田晃宏 / 内田岳志 / 中土井俊允 / 大谷秀一郎 / 柊木智貴 / 他 【東京公演】 2025年1月8日(水)~1月13日(月・祝) 会場:THEATER MILANO-Za 【大阪公演】 2025年1月17日(金)~19日(日) 会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ