和田雅成×和田琢磨 道なき道をつくるふたり「作品への愛があれば切り開いていける」
ミュージカル『薄桜鬼』で自分の意識が180度変わった
――脚本を拝見して感じたのですが、仙門で切磋琢磨しながら過ごす花郎の日々は、稽古場で本番を目指し稽古に励む舞台俳優と重なるところがある気がします。お二人にとっても、あの作品と過ごした日々が青春だったと感じることってありますか。 雅成 僕は舞台『弱虫ペダル』とミュージカル『薄桜鬼』がそうですね。やっぱり男たちばっかりで汗を流すような作品は自然と青春を感じます。 琢磨 そうですね。僕も男同士の青春群像劇に出させてもらったことはいっぱいあるので、自分にとっても青春だったなと思います。そういう作品って、初日と千秋楽でガラッと変わるような成長ぶりを見せる人がいたりして。そこがまた青春らしいというか。 雅成 特に僕は『薄桜鬼』で自分の意識が180度変わったなと思っていて。ありがたいことに初めて座長を務めさせていただいて。現場も年下の子たちが多くて。この作品を一緒にやっていく中で、この子たちに幸せになってほしい、そのために自分はどうしたらいいんだろうと初めて考えたのが『薄桜鬼』でした。それまでの僕は結構尖っていて、人の好き嫌いがはっきりした人間だったんですけど、そのあたりから自分が嫌だなと感じるところもその人の魅力だと考えられるようになったというか、そこすらも愛しちゃえば、その人のことをもっと好きになれると考えるようになった。自分でも大人になったなと思います。 琢磨 相手のいいところを探すというのは大事だよね。それは僕もミュージカル『テニスの王子様』をやっているときに学んだことで。嫌いなところを探すのって簡単なんですよ。特に僕らの仕事は一期一会。どれだけ嫌いでも、現場が終わればもう一生会わなくてすむ。その中で共演させていただいくということは、その時点で何かしら縁があるということ。なので、なるべくその人のいいところを1つでも見つけられるよう心がけています。 雅成 そこはたっくんを見ていて感じますね。あと、鈴木拡樹くんも。二人とも絶対に人を否定しない。この間まで、舞台「あいつが上手で下手が僕で」という作品で一緒にやっていたんですけど、そのときも袖で他の人のシーンを耳で聞きながら「アイツのここ、本当にいよな」みたいなことを言うんですよ。人のいいところを嘘偽りなく探せるのが、たっくんの素敵なところです。 琢磨 ベタ褒めだね。ありがとう(笑)。今回も年下の共演者が多い分、どうしても上に見られてしまうんだけど、だからこそ肩肘張らずにいい環境をつくっていきたい。この舞台『花郎~ファラン~』も、言ってみれば男子校の寮生活を覗き見てしいるような感覚があると思うので、女性のみなさんが「も~、男子たち~!」と思うようなイチャイチャした感じを、可愛らしく、男らしく演じられたら。 ――普段の稽古場の過ごし方ってどういう感じなんですか。共演者同士、イチャイチャすることもあるんですか。 琢磨 (雅成の裾を掴んで)「ね~、その靴、どこで買ったの~?」みたいなことですか(笑)。 ――はい(笑)。「も~、男子たち~!」みたいな瞬間があるのかなって。 琢磨 そんなスンッとしていることはないと思いますよ。人が好きなので。 雅成 たっくんとはありがたいことに最近作品をご一緒する機会が多くて。僕にも心を開いてくれているのかなって感じる瞬間が増えたんですよね。昨日の本読みでも、横でずっと小さいボケをしてるんですよ。それに僕がツッコんでたら、自分の出番なのに全然喋らないみたいなことがあって(笑)。 琢磨 あったね(笑)。 雅成 そういう「たっくん今楽しいんだろうな」って感じられる瞬間が好きで。たっくんが楽しそうにしてくれることで、現場が楽になることもあると思うし。だから、昨日は一緒にやってて幸せを感じる本読みでしたね。