『小さな巨人』大橋大空は島根スサノオマジックで成長を続ける「富樫、河村を超える評価を得られる選手になりたい」
限られた機会でプロ初得点『兄貴分』安藤誓哉らも大喜び
それでも下を向かないのが大橋のキャラクターだ。「練習の5対5でもお互いが毎回全部勝ちに行く」というリーグ有数の強度で鍛え、モチベーションを維持。安藤誓哉やペリン・ビュフォードと毎日のようにマッチアップし、2人のアイデアや言葉を間近で学んでいる。 チーム練習後のワークアウトも安藤と一緒。「誓哉さんが練習での取り組みを試合に落とし込んでいく過程を見て、自分に置き換えて考えるようにしています」と、限られた出番に向けて爪を研いでいる。 待望のプロ初得点は12月16日。信州ブレイブウォリアーズとの第1戦、92-64と大きくリードした第4クォーター残り1分21秒、左ウイングからドライブを仕掛けた後に体勢を立て直し、ピックを使ってマークが離れた隙にプルアップの3ポイントシュートを沈めた。出番をうかがい、ずっと練習で取り組んできたシュートだった。 チャンスは限られているだけに、1本目の試投で決めたのも自信になった。自身は右手で小さくガッツポーズを決めたが、それよりも安藤や白濱僚祐ら『兄貴分』がベンチで盛り上がったのが、これまでの取り組みへの評価だった。 指揮官のポール・ヘナレは「一言だけ『学んで』と伝えている」と多くは語らない。それでも大橋は今後目指す道筋を具体的に見据えている。「一つひとつ段階を踏んで、第1、第2クォーター残り5分で相手をシャットアウトするぐらいのディフェンスで出場時間を得たいです。ポールコーチから『ファウルを使っていいから止めてこい』と言われるように信頼を勝ち取りたい」。ブースターから『ディフェンスの鬼』として親しまれている白濱に次いで、コートでエナジーを与えられる存在となるつもりだ。 現在『FIBAアジアカップ2025予選Window1』に向けて合宿に入ったトム・ホーバス体制の日本代表は、富樫勇樹(千葉J)、河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)ら小柄ながら得点力のあるガード陣がチームを牽引している。「小さくても関係ないと思えるし、2人を超える評価を得られる選手になりたいと思っています。『小さくてもバスケットはできるんだぞ!』って証明したいです」 河村より7cm、富樫よりも2cm小さい大橋は、Bリーグでの実績はまだ2人には及ばない。しかし、大きな野望を胸に島根から『小さな巨人』となるべく、成長を続けている。
バスケット・カウント編集部