【ABC特集】無料から一転、料金徴収へ 外国人観光客を巡る対応に変化 「日本人差別」批判受け奈良県立美術館“無料”サービス廃止 大阪府は“オーバーツーリズム対策”で徴収金の導入検討 「外国人価格」ありやなしや
同じ商品を買うのに、自分だけ高いお金を払えと言われたら・・・。「差別だ」と怒る人もいるでしょう。 関西ではこの春、そんな「価格差」についてのニュースが続きました。差を設ける基準は、外国人かどうか。「外国人価格」ってありなんでしょうか。
■「逆差別だ」と批判・・・奈良は不合理な制度だとして「外国人無料」を撤廃
4 月になり、冷凍食品や酒類など様々なものが値上げされる中、奈良県立美術館の観覧料も一部“値上げ”されました。 <企画展(これまでの料金)> 一般:400円 次の方は無料でご観覧いただけます。 外国人観光客(長期滞在者・留学生を含む) (※県の HP から抜粋) 上記から変更されたのは「外国人観光客は無料」という点です。SNS 上で「日本人への差別だ」などと批判を受け、4 月から外国人観光客は日本人客と同額となりました。
県によると、外国人観光客は2008年から無料で、この数年は総入館者数の1割近くを占めてきました。山下真知事は、当初は外国人観光客の満足度を高めるためのインバウンド政策だったようだとしながらも、無料を理由にどれだけの人が奈良を再び訪れたかもわからず、「不合理な制度だ」として撤廃を表明しました。 「国籍によって受けられるサービスを変えるっていうのは、かなり合理的な理由が求められるんですよね。そういう中で美術館とか博物館だけ、ただになるっていうのは誰が考えても理解できないですよね」(奈良県・山下真知事、3月8日) 「外国人だけ無料」を撤廃した県がある一方、逆に「外国人だけ負担増」の方針を表明したところもあります。奈良県の隣、大阪府です。
■「外国人観光客は増えていく」 万博見据え、大阪が導入を目論む“徴収金”とは
大阪府の吉村洋文知事は3月6日、外国人観光客を対象とした“徴収金”を導入したい意向を明らかにしました。 「(大阪には)万博がありIRがある。魅力がどんどん増すような施策をしているので、外国人観光客はおそらく増えていく」(大阪府・吉村洋文知事) 狙いは、1年後の大阪・関西万博で増えると見込まれる外国人観光客。府はすでに、ホテルなどで宿泊料金によって1人1泊100~300円の宿泊税を徴収していますが、この宿泊税自体のアップに加えて、さらに外国人観光客を対象に宿泊税と同額程度の“徴収金”を導入しようとしています。 “徴収金”はオーバーツーリズムの予防・対策などにあてる計画ですが、「外国人だけから徴収」には府民から外国人差別ではないかなどと批判も寄せられているといいます。 日本を訪れようとする外国人はどう思うのでしょうか。
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