【ABC特集】無料から一転、料金徴収へ 外国人観光客を巡る対応に変化 「日本人差別」批判受け奈良県立美術館“無料”サービス廃止 大阪府は“オーバーツーリズム対策”で徴収金の導入検討 「外国人価格」ありやなしや
■「外国人価格」が導入されたら、大阪への観光客数に影響は・・・
2023年に、世界中から3700万人近くが訪れたというフランス・パリ。しかし今、旅行を計画する日本人からは「行きたくても行けない」と嘆く声が聞かれます。 この夏、一般的なホテルの料金が概ね1泊10万円ほどに。円安傾向に加え、7~9月にオリンピック・パラリンピックが開催されるためです。 さらにパリでは1月、宿泊税の引き上げも実施され、これまでの3倍近い1人1泊最大14.95ユーロ(約2440円)に増額されました。 大阪も来年の万博では世界から多くの観光客を迎えようとしており、パリ同様に「観光客からお金を・・・」と考えることは理解できます。 でも外国人との「二重価格」はどうでしょうか。「権利に敏感」と言われるフランス人に、日本を訪れた時に外国人対象の“徴収金”があった場合、どう受け止めるのか聞いてみました。「同一価格で同一サービスを受けるのは当然で権利の侵害だ!」などと、反発ばかりかと思いきや、そうではありませんでした。 「特に差別は感じないし、ショックにも思わない」(40代男性) 「違和感はない。日本でのことなのだから、日本人は払わなくていいという論理は理解できる」(60代男性) 「世界中が観光客であふれている中、市民の生活を守り地元経済を良くするため、自治体が一定の制限をしようとしている姿勢は評価したい」(50代女性)
調べてみると、実はパリにはすでに外国人のほうが高く払う「外国人価格」が存在しています。 フランスが誇るルーブル美術館で、日本人観光客なら通常、大人1人、22ユーロ(約3590円)かかりますが、EU(ヨーロッパ連合)の国の居住者は26歳未満なら無料です。この場合、「外国人価格」=正規料金で、地元の人はそこから割引されている形です。パリの人たちには、拒否されるものではないようです。 ただ、外国人向け価格が「日本人優先」とみられ、対象者から不平・不満を抱かれることは観光政策として望ましいものではないでしょう。価格に「正当性」を持たせる制度設計が必要だと専門家は指摘します。
【関連記事】
- ▶奈良県立美術館が外国人も有料に SNS上の無料批判受け4月から 山下知事「誘客の促進につながらないのに…合理性ない」
- ▶大阪・吉村知事が外国人観光客から「徴収金」導入の意向 差別にならないかや日本在住者の扱いなど課題 宿泊税引き上げ含めて検討
- ▶大阪城の入館料2倍の1200円に来春値上げ 日本一高い“天守閣” 観光客の反応は? 外国人「その値段でも払う」日本人「もう来ないかも」
- ▶【万博】費用上振れで「経済効果」も4000億円増 経産相の再試算で2.9兆円に 「波及効果倍率」は輸入割合増え10%低下
- ▶大阪・関西万博 新職員160人の入所式「楽しみにしているイベント」 1年後の本番に向け 協会職員は769人に