阪神・藤川球児が80球熱投で示した復活と変化
「球児! おかえり!」 4年ぶりに日本球界に凱旋した阪神の藤川球児(35)が1日、沖縄の宜野座キャンプで一番乗りでブルペンに入ると、女性ファンの歓迎の声が飛んだ。ブルペン横に設けられた見物席も、あいにくの雨に打たれたが、満員のファンが、そのピッチングを見守る。 ノーワインドアップから、ストレートだけでなく、カーブ、スライダー、チェンジアップ、フォークと、変化球を織り込み80球。熱の入ったピッチング内容だった。かつて“火の球”と呼ばれたホップするようなストレートの球威は見られなかったが、アウトコースの低めにコントロールされたボールが印象的だった。 肘への不安を感じさせないほど、腕もしっかりと振れていてキャッチャーの後ろでチェックしていた大物OB連中は揃って「思ったよりいい」「ボールの回転が良かった」「想像以上に手術した肘の回復状態が良くなっているように見えた」と高評価を与えていた。 視察に訪れていた中日の佐藤秀樹スコアラーも、「4年前の藤川と比べると大きく変わっていた。ストッパー時代は、ストレートとフォークくらいだったが、先発を意識して多彩な変化球を使っていた。初日にしては球数も多いですよね? それにコントロールに気を配っているようにも思えた」と、先発転向を意識して変貌を遂げた点を指摘していた。 メジャーに渡った藤川が、そのボールとマウンドなどの環境の影響を受けて、肘を痛め、トミー・ジョン手術を受けたのが、2013年6月。昨年、2試合でリリースされ、帰国後は、阪神や複数球団の誘いをけり、独立リーグの四国アイランドplusでのプレーを選択していた。 この日、練習後、本人は「野球は楽しいなと思った。今後も楽しく怪我することなく練習をしていきたい。80球の意図? 特にない」と、多くを語らなかったが、35歳の古傷を抱えた投手が、まずはキャンプ初日から、復活を強くアピールできたことの意義は大きい。ベテランの藤川が、率先してブルペンに入ってペースアップすることで活気が生まれると同時にピンとした緊張感も張りつめていた。まさに金本監督の言う「明るく、厳しく」のキャンプテーマを球児が作り出した。