YUGEN Gallery、気鋭アーティストと若手キュレーターによる特別展「awai~身体の解体と再構築~」を開催
肉体として存在し、身体を通じて関わりあう現代の構造を再考するための問いを提示する。
現代アートギャラリーの 「YUGEN Gallery」 では、若手キュレーター支援の一環として、若手キュレーターが気鋭アーティストと共同で開催するグループ展「awai ~身体の解体と再構築~」を2024年8月10日(土)~8月18日(日)に開催する。 参加アーティストはスコット・ウェイド、竹村智成、マルタン・ベルトロ、ポル・マロの4名。 <キュレーター・ステートメント> 現代社会では、テクノロジーの発達によってヴァーチャルな空間においては“個”の繋がりが強固になったかのように思われる中、現実世界では“個”を形成してきた個人史や社会・政治的文脈がミニマルに捉えられ希薄化するという乖離現象が発生している。 このように、21世紀、とりわけコロナ流行後は身体が不在の状況下で物事が展開されていくということが極めて一般的なものになった。同時に、確固たる輪郭を持っていたはずの身体は、それまで潜在意識下にあった理想を纏うことが容易になり、曖昧化しているだろう。言い換えれば、現実世界にアイデンティティを持たないユートピア的なアヴァターを見出しているわけである。しかし、そのどれもが一見自らを客体化したように見えているだけの幻影である。 そんな中、芸術家たちは一貫して自らの被膜を拡張するように作品を生み出し続けてきた。鑑賞者は、物理的・内的知覚を通して、如何に自らの経験や記憶と重ね合わせ、自己の身体性との接合点を測るのか。本展では、かつてないほど情報と実在が入り乱れる2024年/青山という地から、肉体として存在し、身体を通じて関わりあう現代の構造を再考するための問いを提示する。
スコット・ウェイド
ウェイドの作品は、「超現実的なもの」と「日常的なもの」を区別することなく、そのふたつを同一のものとして見做している。見え隠れする超現実的なもの(疑問を抱くもの)が弛緩して日常に溶け出すとき、それは我々の思考を起動させ、好奇心を掻き立てる。こうした一連の流れは、見るものに快感を覚えさせる機能を持つ。 「共有可能なコンテンツ」とオンライン上での双方向的な交流は、超現実と日常が孕むエンターテイメントを提供する。 しかし、鑑賞者の身体における行為は受動的なままである。では、肉体的な悦びはどこにあるのだろうか。身体に、それとも知覚に、あるいは受動的な行為そのものにあるのだろうか。 このアイデアは、映像作品『ソープ&マッド』シリーズにおける物語を通して探求された。 彼は、こうしたありふれたものに対する問いを投げかける物語を紡ぎ続けている。