【独自】JR、乗客救援開始に5時間 瀬戸大橋の列車立ち往生
JR瀬戸大橋線快速マリンライナー(7両編成、乗客約150人)が香川県内の下津井瀬戸大橋上で約6時間にわたり立ち往生した10日の架線切断事故で、発生から乗客救援の方法決定までに約2時間かかり、開始はさらにその約3時間後だったことが13日分かった。救援決定の経過が明らかになるのは初めて。山陽新聞社の取材にJR四国が明らかにした。
同社によると、対応する従業員の呼び出しや現地の状況把握、乗客の乗り換えに使う資材の準備などで時間を要したとしているが、中四国を結ぶ大動脈で大量輸送業務を担うだけに、日頃の訓練の在り方を含め有事の対応の徹底検証が求められそうだ。 事故は日曜日の10日午前7時35分ごろ、児島―宇多津間の児島駅から南約4キロの橋上で発生した。高松発岡山行き列車の運転士や車掌が異常を確認し、緊急停止した。橋上で架線が切れて垂れ下がっていたためで、乗客にけがや体調不良はなかったが、救援のための別列車に乗り換えるまで車内に閉じ込められた。
JR四国によると、乗客の救助は、緊急停止した列車がある上り線から乗客を救済する▽反対の下り線を使う▽代替バスを派遣する―の3方法を検討。上り線は切断架線の撤去に時間がかかり、バスも手配できなかったことから断念し、救援用の列車を下り線を使って児島駅から向かわせて横付けし、渡り板で乗り換えてもらう案に決定するのに午前9時40分ごろまでかかったという。 さらに救援用列車が事故現場に向けて児島駅を出発したのが午後0時49分、到着は0時59分。JR四国は従業員の呼び出しや状況把握のほか、乗り換えに使った渡り板の準備、岡山県側のJR西日本との打ち合わせなどで時間を費やしたとしており、乗客が橋上で長時間身動きできなかった。 取材にJR四国は「乗客に長い時間不安や迷惑をおかけして申し訳ない」とした上で、対応の詳細については「社内で整理を進めており、18日以降に開く記者向けの説明会で回答したい」としている。