ユーロ大幅安、一時1.02ドル台前半-ポンドも8カ月ぶり安値
(ブルームバーグ): 2日の外国為替市場ではユーロが大幅安となり、ドルに対して2022年11月以来の安値を付けた。欧州経済を巡る懸念が続き、ポンドも8カ月ぶりの安値に沈んだ。
ユーロは一時1.3%安の1.0226ドル。昨年9月下旬には1.12ドルを超えていたが、それ以降の下落率は約8%に達した。ポンドも一時1.3%安の1.2353ドル。2日の下落でユーロは相対力指数(RSI、14日間)が売られ過ぎの領域に近づいた。
輸出依存度の高い欧州経済が、米国の次期政権が導入すると見込まれる関税で打撃を受けるとの懸念や、欧州中央銀行(ECB)が米金融当局より積極的な利下げを行うとの予想により、ユーロは下落している。ドイツやフランスなど欧州内の経済大国での政治的不透明感も、ユーロ売りに拍車をかけている。
ポンドの場合、英国の低成長が大きな逆風で、これがイングランド銀行(英中央銀行)の大幅利下げの見通しを強めている。英国の国内総生産(GDP)は昨年7-9月(第3四半期)にゼロ成長にとどまり、英中銀は10-12月(第4四半期)もゼロ成長が続くとみている。
S&Pグローバルが2日発表した12月の英製造業購買担当者指数(PMI)改定値が速報値から下方修正され、3カ月連続の活動縮小を示したことも、ポンドを圧迫した。
ラボバンクの為替戦略部門責任者、ジェーン・フォーリー氏は「低成長はドイツ、フランス、英国に共通しているが、英国は昨年末に発表されたGDPが弱かったためリセッション(景気後退)懸念が増している」と指摘。同氏はユーロが4-6月(第2四半期)に対ドルでパリティー(等価)を付けると予想する。
多くのストラテジストも、年内のパリティー到達かそれ以下へのユーロ安を予測。心理的に重要な節目とされる等価割れは、2022年にロシアのウクライナ全面侵攻で欧州のエネルギー危機が起き、景気後退の懸念が高まった際以来となる。