2つのビタミンBの欠乏がパーキンソン病に関与している可能性?【最新研究結果が示唆】
パーキンソン病の人はビタミンB2(リボフラビン)とビタミンB7(ビオチン)を作る細菌が少ないということが最新研究で明らかになった。 <写真>2つのビタミンBの欠乏がパーキンソン病に関与している可能性? ■パーキンソン病の人はビタミンB2とB7を作る細菌が少ない 最新の研究で、腸内の細菌バランスがパーキンソン病に影響を与える可能性があることが示唆された。名古屋大学の研究者たちが行った最新の研究では、日本、アメリカ、ドイツ、中国、台湾の5カ国でパーキンソン病の患者と健康な人の腸内細菌を比較した。この研究でわかったのは、パーキンソン病の人はビタミンB2(リボフラビン)とビタミンB7(ビオチン)を作る細菌が少ないということである。 ■■パーキンソン病とは? パーキンソン病は、手の震えや体の動きの調整がうまくいかなくなる神経の病気で、通常60歳以上の人に多く見られる。この病気は急速に増加しており、2019年には世界中で850万人以上がこの病気に苦しんだ。1990年以降、パーキンソン病の患者数は世界中で2倍以上に増えている。パーキンソン病のリスクは年を取るほど高くなり、男性は女性よりも50%高いリスクを持っている。他にも遺伝やの頭のケガなどがリスク要因として考えられている。 ■ビタミンB2とB7が豊富な食材 ビタミンB2(リボフラビン)が豊富な食材には、牛肉、牛レバー、シリアル、乳製品、貝、きのこ、アーモンド、卵などが挙げられる。一方、ビタミンB7(ビオチン)は卵黄、野菜、ナッツ、レバー、さつまいも、きのこ、バナナなどに豊富に含まれる。これら2つのビタミンは、炭水化物や脂肪、タンパク質をエネルギーに変えるために必要で、免疫システムを強化し、炎症を抑える働きがある。 ■ビタミンB2とB7の不足による腸内細菌の変化がパーキンソン病に影響? 研究者たちは、ビタミンB2とB7を合成する遺伝子を持つ腸内細菌の減少が、腸内の短鎖脂肪酸とポリアミンの量の減少と密接に関連していることを発見した。これらの物質は腸の粘膜層の形成に重要で、粘膜のバリアが弱まると腸の透過性が増し、毒素が血流に入りやすくなる可能性がある。研究者たちは、これが神経の炎症を増加させる一因になる可能性があると考えている。 一方、エモリー大学(米ジョージア州)のティム・サンプソン博士は、この研究が糞便中や血液中のビタミンを直接測定していないことを指摘している。「この研究は、これらのビタミンを作る細菌の遺伝子が減少していることを示しただけであり、実際にこれらのビタミンが不足しているかどうかは分からない。パーキンソン病の患者は炎症が増加しており、その一部は腸内環境の影響かもしれない。これらのビタミンが免疫機能に良い影響を与えることは知られているが、その不足が具体的にどう炎症に影響するのかはまだ解明されていない」と慎重な意見を述べた。 さらなる研究は必要だが、今回、ビタミンB2とB7の不足が腸内細菌の変化と関連して、パーキンソン病の病態に影響を与える可能性があることは示唆された。新たな治療法や予防策の開発につながることが期待される。 出典: Study suggests 2 vitamin B deficiencies may play a role in Parkinson's disease B Vitamins Target Gut-Brain Axis for Parkinson's Treatment Healthy Foods High in Riboflavin The Top 10 Biotin-Rich Foods 文/山口華恵
山口華恵