ヤクルト・長岡秀樹

【球界ここだけの話】プロ野球は23日にソフトバンクがパ・リーグを制覇。セ・リーグも巨人が優勝へのマジックナンバー「4」を点灯させている。シーズンも大詰めに差しかかり、個人のタイトル争いにも注目が集まる。ヤクルト・長岡秀樹内野手（22）は23日時点で、リーグ2位で自己最多となる154安打をマーク。トップの阪神・近本光司外野手（29）を2本差で追いかけており、自身初の打撃タイトルとなる最多安打を射程に捉えている。 【写真】引退する青木に早大先輩の阪神・岡田監督が花束贈呈「恐縮。写真は一生の宝物」 昨季は135試合の出場で、打率・227。苦しいシーズンを送ったが、遊撃のレギュラーに定着して3年目の今季はここまで全136試合に先発し、打率・288と飛躍を遂げている。22歳の左打者の進化を後押しする一つが、打席内で行う新たなルーティンである。 マウンド側の右脚を投手に向かっていくように前に踏み込み、右膝を曲げながらぐっと重心を右脚に移動。その後、元に戻り、本来の構えに入る。今季から始めたもので、長岡によると「4月か5月のバンテリン（中日戦）くらい」から取り入れたという。構えたときと、踏み込んだときのボールの見え方の〝ズレ〟をなくす目的があり、「『これが踏み込んだときの画角、景色だよ』って覚えながら構える。意識付けっす」と説明した。 自身で考えて習慣化したことで、ボールの見え方が安定し、ミートするためのスイングのブレもなくなった。大松打撃コーチも「（一度、踏み込んだ姿勢になるから）打ちにいったときの右肩の位置や状態を意識して構えられる。右壁が崩れる頻度が減った」と効果を明かした。〝踏み込みルーティン〟が安定感につながっている。 このオフは初めて球界野手最年長42歳の青木の下で自主トレ。今季限りで現役を引退する師匠から野球に対する姿勢や技術、考え方を学び「本当にあの自主トレがなかったら今の僕はない。この1月から僕の野球人生、野球観が、すごく変わったなと思うので、感謝してもしきれない」と話す。まだプロ5年目の22歳。最多安打のタイトルを獲得すれば、さらなる成長に向け大きな自信になるはずだ。持ち前の探求心でたくさんのことを吸収し、燕軍の顔となる。（武田千怜）