問われる世襲議員の存在 「父以上に徹底的に歩く」 批判強める立民 茨城7区・福島2区
衆院選(27日投開票)では、政治家の親や親族の地盤(選挙区、後援会)、政治資金を引き継ぐ「世襲政治家」の是非も問われている。与野党問わず世襲候補が出馬しており、選挙区ごとに出馬の経緯は異なる。だが、立憲民主党は公約で国会議員の資金面での世襲制限を打ち出し、対立する自民党の世襲候補への批判を強めている。 【表でみる】夕刊フジが作成した「落選危機にある大物・著名候補21人のリスト」 ■父の関係で応援はこの1回だけ 「日本一ストイックといわれた中村喜四郎を超えたい。父以上に徹底的に地元を歩くことが、世襲といわれる私が示せる覚悟だ」 衆院選が公示された15日、茨城7区に無所属で出馬した新人の中村勇太氏(38)は茨城県古河市内の公園で開いた出陣式で、元建設相の父・喜四郎氏の名前を出した。 喜四郎氏の姿はなかったが、中村氏が「父の関係で応援してくれるのはこの1回だけと理解している。この1回をちゃんとやるのかを見られている」と語ると、喜四郎氏の支援者たちから拍手が涌いた。 出陣式を終えた中村氏は、選挙カーではなくバイクに乗って会場から遊説に出発した。その姿は、バイクでの選挙区回りで知られた喜四郎氏をほうふつさせた。会場で見送った支援者はこう解説した。 「父への憧憬や敬意の表れだ」 前回の衆院選で立民入りした喜四郎氏の引退に伴い出馬した中村氏だが、立民が世襲制限を打ち出したことや、「(立民の)野田佳彦代表の後ろ盾の小沢一郎氏と喜四郎氏の確執」(立民県連幹部)もあり、立民公認での出馬はかなわなかった。中村氏周辺は「世襲であるが故に公認が得られなかった。退路を断っての出馬が吉と出るか凶と出るか」と話す。 中村氏との一騎打ちに臨む自民党前職の永岡桂子元文部科学相(70)は夫の死去を受けて平成17年の選挙で地盤を引き継いだ。そのため中村氏の世襲を批判する場面はわずかで、「自身の実績を訴える選挙戦」(選対幹部)を展開する。 ■対立候補「ただの世襲に負けない」 国会議員の世襲には、多様な人材の政治参加を阻んでいるとして、強い批判がある。今回の衆院選では、現職議員が公示直前に引退を発表し、駆け込みで親族への世襲を認めるケースが相次いだ。