日本は2国目「ウーバーロボット宅配」期待と不安、時速5.4kmで歩道を走行、人手不足の救世主なるか
ロボットは歩道を移動して商品を届けるが、建物の中には入ってこられない。利用者は建物前に到着したロボットまで受け取りに行き、アプリ上に表示されたパスワードを入力すれば商品を取り出せる。 このため「(受け渡しの手間を考えると)昼など混雑時の対応は難しいのではないか」(大手外食チェーン)と懸念の声も上がる。自律型ロボットの最高速度は5.4kmで、歩道の移動で20~30分程度で到着する距離に制限される。飲食店から2km程度の範囲での運用となりそうだ。
これら課題については「ロボットによる配送サービスはアメリカでも初期段階。テストをしながら改善していきたい」(ウー氏)と改善を見込む。 ■人手不足解消にはポジティブか 課題はあるが期待する声も多い。 前出のとんかつ檍の吉田店長は「雨天時には配達員の手配に時間がかかり、遠方の配達員を手配することもある。こうした状況だとロボットによる配達は有効」と語る。ウーバーイーツジャパン広報も「季節や時間帯、天候などの条件によっては、加盟店や注文者に対して、稼働できる配達パートナーが少なくなる地域もある」とする。
今回導入されたアメリカCartken社のロボットは、夜間や雨天、軽い雪の際も走行可能だ。さらに「将来的には、配達パートナーが足りていない地域で、デリバリーロボットが配達ネットワークを補完する形で活躍できる可能性もあると考えている」(ウーバーイーツジャパン)と人手不足対策にも目を向ける。 日本での導入にあたっては、三菱電機が2023年に改正された道路交通法に準拠した使用に改良。運用は三菱電機の関連会社メルコモビリティーソリューションズが担当する。ロボットには360度見渡せるカメラを搭載し、オペレーターが常時監視することで、緊急時に出動できるスタッフが待機して対応にあたる。
走行時は歩行者などを感知し、自動で停止や進路変更を行う。一方で信号などの交差点では、あらかじめ一時停止するように設定。交差点を渡るにはオペレーターの許可が必要だ。 ■将来的には建物内への配達も実施 配達で使われる自律型ロボットを開発したCartken社は、2019年にGoogleのエンジニアらによって設立されたスタートアップ企業。今回使用されるロボット「Mode lC」は、長さ71cm、幅46cm、高さ60cmの機体に、最大27L・20kgの荷物を積載できる。