大晦日にお正月…年末年始に注意すべき疾患を知っていますか? 【医師が予防法を伝授】
家族や親族で集まったり、大事な人と過ごしたりと、多くの人々が楽しみにしている年末年始。「ハメを外して飲みすぎた」「揚げ物やお菓子を食べ過ぎた」「夜更かししてしまった」など、いつもと違う生活習慣で過ごすことが多くなります。そんなときに起こりやすいのが、予期せぬケガや病気の発症。年末年始は、ケガや病気が起こりやすいだけでなく、病院自体が休みなど不測の事態を招く可能性もあります。そこで今回は、年末年始の過ごし方が招く疾患とその予防法について日本救急医学会救急科専門医の丸山先生に解説していただきました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
年末年始の過ごし方 暴飲暴食や夜更かしが招く疾患とは?
編集部: 大晦日やお正月など、年末年始になるとついつい食べ過ぎてしまいます。毎年体重が増えると感じているのですが、体重を戻せば問題ありませんか? 丸山先生: 私たちの身体は一時的な体重の増減に対して、ある程度耐えられるように出来ています。ですので、年末年始で増えた体重を健康的な生活を送ることでゆっくり戻す分には問題ありません。しかし、年末年始に急激に体重が増え、その後、ダイエットで急激に体重を減らすことは体にとって大きな負担になるので、慌てて食事を抜くなど極端なダイエットはやめましょう。 編集部: 正月太りを早く解消させたいのですが、なぜ急に体重を減らすのがいけないのでしょうか? 丸山先生: まず、乱れた食事(高カロリー・高脂肪・高糖質)を続けると、脂肪の蓄積、血糖値の乱高下、消化器系の負担が増大し、糖尿病や心臓病のリスクが高まります。その後、無計画なカロリー制限や糖質制限を行うと、低血糖による頭痛・めまい、ケトン体発生による口臭・体臭の悪化、便秘を引き起こす可能性があるのです。さらに、栄養不足で筋肉量が低下し、ダイエットに成功しても、太りやすい(リバウンドしやすい)身体になってしまいます。 編集部: では、どのくらいのペースで体重を減らすのがよいでしょうか? 丸山先生: 3~6ヵ月かけて体重の3%程度減量するようにしましょう。体重50kgの方なら3~6ヵ月かけて1.5kg減量することになります。無理なダイエットは行わず、健康的な食生活・運動習慣を意識して自然と適切な体重に戻るまで待ちましょう。 編集部: 年末年始は食事だけでなく、寝る時間も遅くなりがちです。睡眠時間のズレによる疾病や不調はありますか? 丸山先生: 夜更かしや不規則な生活習慣は、体内時計を乱してさまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。具体的には、ホルモンバランス・分泌リズムの乱れ、疲労、集中力の低下、うつ症状の発症リスクの増加などが挙げられます。たった2日間の寝不足(4時間睡眠)だけでも、食欲を抑制するホルモンであるレプチンの分泌低下、食欲を刺激するホルモンであるグレリンの分泌増加が知られています。これにより、食欲が高まり暴飲暴食につながります。 加えて、乱れた食事や深酒、喫煙で睡眠の質が下がり、悪循環となります。大晦日など、どうしても夜更かししてしまう日もあると思いますが、睡眠不足の日が続くことがないよう注意し、睡眠前の数時間は睡眠を妨げる刺激を減らすよう心がけましょう。