ダルビッシュ有〝やんちゃ時代〟知る恩師「人間は変わるものだね」日本ハム・山田顧問が感慨…史上3人目の日米通算200勝達成
米大リーグ・パドレスのダルビッシュ有投手(37)が19日(日本時間20日)のブレーブス戦(アトランタ)で、野茂英雄、黒田博樹に続いて史上3人目となる日米通算200勝を達成。東北高時代からスカウトとして追いかけ、右腕のやんちゃ時代も知る日本ハム・山田正雄顧問(79)は感慨深げだ。 (片岡将) 【写真】佐々木朗希と話すダルビッシュ有 7回をわずか2安打1四球と圧巻の投球。ナ・リーグ東地区を6連覇中の強豪を寄せ付けず、3カ月後に38歳になるベテランが通算25イニング無失点と自己ベストを更新した。 年齢を感じさせない技術と体力が融合した投球を体現できるのは、飽くなき向上心によるもの。「そもそも成績を残すというところがモチベーションではなく、いろんな変化球を投げたいというのが、ずっとやっている動機」と話す。敵軍のドジャース・山本やカブス・今永のブルペンも熱心に見学。昨年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)ではチーム最年長として指導役も期待されたが、本人は「一方的にではなく、自分も学びたい」と語った通り、若手から変化球の握りやリリースの意識を聞き取るなど双方向の関係性を築き上げた。 「人間は変わるものだね。本当にいい大人に成長してくれた」と山田顧問。日の丸のためメジャーの昨春キャンプを切り上げ、早期参加した姿に感銘を受けたという。 「厳しくする一方では彼の良さが消えてしまう」 東北高(宮城)2年時に春の甲子園準優勝、3年夏にはノーヒットノーランも達成したが、素行面や練習嫌いとされた性格などが敬遠され、ドラフトでは日本ハムが単独1位指名。翌05年2月にはパチンコ店で喫煙している姿が週刊誌にすっぱ抜かれた。 山田顧問は「東北高校の先生からも『ちゃんと教育してくれるって言ってたじゃないですか!』って怒られちゃったけどね。でも、厳しくする一方では彼の良さが消えてしまうと思った。人見知りするところがあったからね。自分の殻を閉ざしてしまうかもしれない。あまりタバコのことにも触れなかった」と見守る姿勢を貫いた。「負けん気の強さは分かっていたから、周りに追いつくために自然と練習に打ち込んでくれるだろうと。結果的にはそれが良かったのかもしれないけど、本人の頑張りですよ。われわれも勉強になった」 ダルビッシュ自身もこの日の大台到達後、NHKのインタビューで「プロに入ったときにいろいろあって、その中でファイターズとファイターズファンの方々、日本全体ですね。自分を優しく育ててくださったので、それがずっと自分の元になっている。その感謝を忘れずにずっとやっています」と振り返った。
「本当におめでとう。でも、まだまだこれからですよ」と祝福した恩師に、さらなる白星を届けたい。