<ラグビー>2季ぶりにヤマハに戻った五郎丸は日本代表に復帰できるのか?
ラグビーのワールドカップイングランド大会の日本代表FBだった五郎丸歩(31)が3日、トップリーグのヤマハ発動機への復帰記者会見を行い、静岡県磐田での初の全体練習に臨んだ。 2015年のイングランド大会では日本代表の副将と正フルバックを務め、南アフリカ代表などから3勝を挙げた。国民的な人気者となり、ゴールキック時の動作は「ルーティーン」という言葉とともに一般層へも伝わった。2016年冬には、それまで8季在籍したヤマハを退団。2月からはオーストラリアのレッズに加わり、国際リーグのスーパーラグビーに参加する。同年8月からは、フランス1部リーグの名門トゥーロンへ移った。 個人の能力開発を期して海を渡ったが、待っていたのは辛苦だった。まずレッズでは、日本のサンウルブズとの試合で肩を故障。不完全燃焼に終わった。 特に楕円球界の銀河系軍団と称されるトゥーロンでは、ウェールズ代表のリー・ハーフペニーらと定位置を争った。その結果、出場機会はわずか5試合に止まる。 「ありがたいことに国内では試合に出続けていたわけですが、海外では出られない期間が多かった。その分、ジャージィを着た時の喜びは国内では感じられない部分もありました。他には、環境、文化が違うなかで自分をアピールする難しさ…。本当にいろんなものを感じました」 酸いも甘いも知った31歳の五郎丸に、ヤマハ側は経験値の還元を期待している。本人は「僕は、あまり言葉で伝えるタイプではない。練習や私生活を見て何かを感じてもらえたら」と語りながら、トゥーロンのスターと過ごした日々についてはやや饒舌になる。 「世界各国から選手の集まったトゥーロンへ行けたことには満足しています。彼らのラグビーへの姿勢、自分をコントロールして試合へ向かう日々を見ると、やっぱりまだまだだなと思うこともあった。マット・ギタウはコミュニケーション能力が高い。英語圏出身なのですがフランス語も話せて、通訳がいない時はその代わりもする。いろんな選手に気を配って、だから信頼され、最後はコーチ役も任された。尊敬できる選手でした。ハーフペニーを見て、海外に行ってよかったなと思えました。キックひとつにとってもすごくこだわって練習していますし、本当に努力家。外国人であんなに努力している人を初めて見ました」 オーストラリア代表センターのマット・ギタウ、正フルバックとゴールキッカーの座を守っていたハーフペニーの名を挙げ、海外経験は無駄ではなかったと話すのである。 世界基準を肌で感じた五郎丸は、2季ぶりの復帰となるヤマハ合流初日も軽快に動いた。シャッター音の鳴り響くグラウンドで、ゴールキックも蹴り込んだ。再び試合出場の機会が増える五郎丸にファンが期待するのは、イングランド大会以来の日本代表復帰だろう。