<独自>自治体に年1回備蓄公表を義務付けへ、内容の改善と充実図る 災害対策関連法改正
政府が地方自治体に対し災害備蓄状況の公表を年1回義務付ける方針であることが4日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。今年の通常国会に提出予定の災害対策関連法改正案に盛り込まれる見通し。定期的な公表を課すことで各自治体の備蓄状況を透明化し、昨年1月の能登半島地震で課題となった災害時の避難生活の環境改善を進める狙いがある。 【グラフィック】政府が想定する備蓄体制の強化イメージ ■能登半島地震では大幅に不足 政府は、能登半島地震で簡易トイレなどの備蓄物資が大幅に不足したことを受け、各自治体の災害備蓄の強化を支援する方針を打ち出している。これに合わせ、災害対策基本法改正を念頭に各自治体に対し、ホームページなどでの年1回の公表義務を盛り込む。 政府は現在、各自治体の主な備蓄物資の状況を調査しているが、これまでは備蓄状況の管理は自治体に委ねられ、全国的な状況は把握できていなかった。年1回の公表で自治体の定期的な確認を担保し、内容の改善を促すとともに都道府県や周辺自治体に備蓄状況が分かるようにし、地域全体での議論を進める。 ■国の備蓄拠点1カ所から8カ所へ また、現在の物資輸送管理システムでは、自治体の備蓄状況を十分に反映できていない課題があった。現在開発中の次期管理システムで機能拡張を図り、自治体が公表する備蓄状況と連動した物資管理体制のモデルを構築する。 災害時の避難環境を巡っては、体育館で避難者が雑魚寝するなどの状況について批判が根強い。政府は段ボールベッドやキッチン資機材などの備蓄を強化。国の備蓄拠点を1カ所から全国8カ所へ分散化し、自治体と連携した備蓄管理体制をつくる。(市岡豊大)