「夏休みいらない」……困窮家庭の切実な声
一方、都内に住むシングルマザーの40代の田中さん(仮名)は、3人の息子を育てています。長男は現在中学3年生、次男と三男はそれぞれ小学校高学年と低学年だといいます。 「夏休みは毎年大変ですね。普段は給食のところ、お昼ご飯の用意が必要になる。近くに親戚もいないので、働きながらこなしています」「物価高が続いているなかで、お米を買うのも高い。夏休みだとみんな家にいることも多いので、クーラーなど光熱費の高騰も影響受けますね」 夏休みは遠出はあまりせず、家や近所でこどもが楽しく過ごせるよう工夫しているといいます。 「家族みんなで近所にセミとりにいく日を作って、一番かわいいセミを見つけられた人が優勝!みたいな大会をしたり、羽化しそうなセミを見つけて観察したり。イベントにして楽しんでいます」「家でも楽しめることを考えて、いろんな味のふりかけを食べる“ふりかけパーティー”をしたり、テレビで特番の放送がある日は夜更かししてもいいことにして特別感を出したりなど、背伸びせず、できる範囲でやってます」 一方、長男はことし受験生。勉強が好きだという長男にできることはしてあげたいと話します。 「勉強をがんばっているので、塾には行かせてあげたいと思って通わせています。塾代は高いし、前払いなので大変でした」 長男の頑張りをできる限り応援するため、田中さんは積極的に情報を集め、進学に関係する受けられる支援は活用しているといいます。市区町村によっては、年収などの条件を満たし、申請すれば塾代などの補助が受けられる制度もあるということです。 「やっぱり進学とかはしっかり支えてあげたい。いろいろな支援などがあるのになかなかそこにたどり着かないこともある。わかりやすく、また使いやすい支援が増えたらいいなと思う」
■本当に必要な支援を
困窮している家庭の多くはひとり親で、収入もひとりで支えているケースがほとんどです。すこしでも収入を増やそうと頑張って働いた結果、これまで受けられていた給付の対象から外れたり、児童扶養手当が減ってしまったり、受けられる支援が減ってしまい結果的により困窮した状況になってしまうこともあるといいます。 また、収入を今よりも減らさないように、体調が悪くても仕事を休むことができなかったり、こどもの世話に十分な時間をとれなかったりすることに悩んでいる家庭もあります。 物価の高騰が続く中、困窮する家庭への支援は急務だとして、キッズドアは、十分な食事のための現金給付を行うことや、体験格差を埋めるための支援などを政府に求めています。キッズドアの渡辺由美子理事長は「本当に困っている方に手厚く支援することが必要」とした上で、「普通に働けば普通に子育てができる社会を実現してほしい」としています。