「ブラックロックESG世界株式ファンド(為替ヘッジなし)」が実現するESG投資と好成績の両立! 「転職サイトのクチコミ」まで投資に生かす
「ブラックロックESG世界株式ファンド(為替ヘッジなし)」は、「ダイヤモンド・ザイNISA投信グランプリ2024」の世界株部門で最優秀賞に輝いた。同投資信託は世界最大の資産運用会社、ブラックロックが運用し、NISAのつみたて投資枠でも購入することができる。 【写真】ブラックロックESG世界株式ファンド(為替ヘッジなし)の組入上位銘柄 いまやESG(環境保護、社会貢献、企業統治)は、普遍的なテーマで企業活動における取り組みが問われている。「ブラックロックESG世界株式ファンド(為替ヘッジなし)」は業績の成長率、財務、株価水準、ESGなど100以上の項目を数値化し総合得点の高い銘柄を採用する。同投資信託ではその中でもESGスコアの比重が高い。資本効率や利益成長のみならず、ESGに着目した銘柄選定や投資運用を行いながら、参考指数を上回る成績を上げている。ブラックロック・ジャパン株式会社 運用部門 株式戦略部長の入山千恵子さんにその秘訣を聞いた。 ●「ブラックロックESG世界株式ファンド(為替ヘッジなし)」は 35年の歴史がある計量モデルで“ESG投資”と“好成績”を両立 ──運用の特徴を教えてください。 入山 ブラックロックで35年の歴史を持つ計量モデルをもとに、毎日3000銘柄以上を点数化し、魅力度の高い銘柄を多めに組入れています。この評価項目は、業績の伸び率、財務情報、バリュエーション(株価が割高か割安か)など100以上あり、もちろんESGの取り組みについても点数化しています。 ──定量分析による運用なのですね。 入山 ここ10年くらいは機械学習の技術を用いて、数字以外のオルタナティブデータも分析しています。従来型の業績や財務など数字だけでは把握できないものも分析しています。 経営者の発言やニュース内容といった文章を分析して、業績予想に生かします。機械学習の技術を用いたビッグデータ分析のメリットは、数千銘柄にいっぺんに幅広くアクセスして、横比較ができること。点数化することで、どの銘柄がいいか相対的な判断がしやすくなります。 ●サンフランシスコオフィスを主軸とした100人超のスタッフで運用 「転職サイトのクチコミ」まで分析することも ──ビッグデータが、どのように投資の世界を変えていくのかワクワクしますね。 入山 「ブラックロックESG世界株式ファンド(為替ヘッジなし)」の運用では、昔は個別の単語解析だけだったのものが、いまでは生成AIによって言葉や文章のニュアンスを読み取る自然言語処理にまで進化しています。 例えば、転職が盛んな米国には数多くの転職サイトがあります。転職サイトの書き込み、つまり生の声を分析することで数字だけではとらえられない企業の本質に迫りやすくなります。残業の実態や、ボーナス支給、人種や宗教、性別にとらわれず多様な人が活躍できるダイバーシティはあるか、適正に昇進できるのか……といったことが挙げられます。 なぜこのような情報を利用するのか? それは、日進月歩に変化する社会の中で、競争力のある新しい商品開発やサービスをスピード感をもって生み出すには、従業員満足度の高さが重要だと考えているからです。働く人たちが自由で柔軟な発想をできる環境が整っているか。数字だけでは読み取れない生の情報から分析するのです。 こうした従業員満足度のようなオルタナティブデータは、すぐには株価に反映されませんが、中長期的な成長には重要な指標になります。 ──計量モデルという言葉の先を行っていますね。 入山 この投資信託の運用には、サンフランシスコのオフィスを主軸として100人以上のスタッフが携わっていて、日々投資アイデアを考えています。データをどう使えば将来の株価を予測できるのか、合理的な理由が求められます。投資アイデアを出すときは、論文の提出が必要です。 転職サイトのクチコミのケースでは、従業員満足度をみるためです。風通しのいい職場環境から自由な発想が生まれ、ヒットする新たな製品やサービスが誕生し、会社が成長していくといったロジックです。 ほかにも環境対応というテーマなら、将来その企業のグリーン化を進める人材(技術を持った人材)を、現時点でどれくらい採用しているか、また今後どのくらい採用しようとしているかといったことをみています。 ●組入銘柄にはマイクロソフトやアップルなど大手ITが並ぶ ESGを重視しつつも「ニュートラル」に銘柄選定 ──組入上位の銘柄はマイクロソフトやアップルなど、有名な米大手IT企業が並んでいます。 入山 この投資信託はMSCIワールド指数を参考指標としており、それを上回る成績を目指しています。そのため指数の構成と、ある程度は似通ります。200~700銘柄程度保有できる枠組みで、指数の組入銘柄を±1.5%の比率で調整しています。 ──ESGという名前がついていますが、1月の組入上位には石油メジャー大手のエクソンモービルも入っていました。 入山 最近でいえば、2022年はあらゆるセクターの中で、エネルギーセクターだけが大きく上昇しました。関連銘柄をまったく保有していないと、ときには指数に大きく負けてしまいます。武器開発など特殊な企業は除かれますが、ESGを重視しつつも、銘柄の組入構成は偏りなくニュートラル(中立)な状態です。 ──ESG投資と好成績は両立するものなのでしょうか。 入山 この投資信託は、ESGを重視した投資と好成績の両立を目指しています。ESGの得点が高い銘柄だけを集めるのではなく、計量モデルの総合得点で判断しています。そのため、当チームが運用する他の投資信託よりもESGスコアの比重は高めになっています。 ESGだっていつもブームというわけではなく、世間の関心や投資テーマには波があります。ESGを重視しつつ、中長期で指数を上回る成績を目指しています。 企業のESGへの取り組みは社会的に高く評価されることだが、一方で、利益成長や株価上昇と結びつくのか。投資家にとってジレンマにもなり得るテーマを見事に両立させている。運用成績は5年、3年、1年、どの期間でみても参考指標のMSCIワールドを上回る。生成AIによるビッグデータ分析と、ESG以外の項目も評価に取り入れることで、可能にしている。 ※「ダイヤモンド・ザイNISA投信グランプリ2024」とは? 月刊マネー誌『ダイヤモンド・ザイ』では毎年、良い投資信託を表彰。第2回となる今回は、“新NISAで買える”好成績のアクティブ型投信30本を表彰した。本グランプリの特徴は、「5年以上の運用成績があり、みんなが買っている分野・投信に限定し、1.どれだけ上がったか(成績)、2.どんな時も下がらない(下がりにくさ)、3.ずっと優等生(成績の安定度)」の3つの基準で選定している点。完全な実力主義で評価し、「個人投資家にとって本当にイイ投資信託」かという点にこだわっている。特別枠として5年未満の好成績投資信託を厳選し、フレッシャー賞を設けている。
ダイヤモンド・ザイ編集部
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