覚悟の日本球界復帰、筒香嘉智の新たな挑戦を応援している
ドラマチックな最高のシナリオだった。DeNAに復帰した筒香嘉智外野手(32)が5月6日のヤクルト戦で1軍出場。逆転3ランで勝利に導いた。日本球界に復帰して、幸先いいスタート。個人的には、米国内で取材できないさびしさはあるが、画面越しに笑顔でプレーし、エキサイトする姿をみることができて、よかったな、と感じた。
初めて会ったのは、2019年12月のロサンゼルス。ウインターミーティングが終わり、筒香がレイズとの2年契約に大筋合意した翌日だった。ロサンゼルス近郊で自主トレを行っている場をアポなしで押しかけ、緊張しながら初対面のあいさつをした。年齢の割に備わり過ぎている貫禄。怖そう…と思って、ビビリながらあいさつをした。それから帰国を決断するまで米国内ではメジャーとマイナー、独立リーグも含めて4年3ヵ月間、いつも親切に取材協力してくれた。
忘れられないシーンがある。初めて単独インタビューをしたメジャー1年目、2020年2月の春季キャンプ。他媒体の取材も立て込み、球団から与えられた時間はわずか15分。正直この時間内で“撮れ高”のある内容にするのは、彼とそれまでの関係性がなかったこともあり、自信がなかった。
だが、ある質問から、目を輝かせ、メジャーへの思いがあふれ出た。「初めてMLBを生観戦したのはいつか?」と聞いたときだった。
「もう“時効”なので、まあいいか」 そういって笑うと横浜高3年時、仮病を使って授業をサボり、1泊3日の弾丸渡米をしたときのエピソードを明かしてくれた。10月のドジャースタジアムを訪れ、ポストシーズンのナ・リーグ優勝決定シリーズ(ドジャース vs. フィリーズ)をバックネット裏席で観戦した。 「覚えています。本当にすべてを。衝撃だったので」
空気の匂いも音も全部?そう聞くと「はい」と即答。練習中、遊ぶように野球を楽しむメジャーリーガーたち。試合は世界最高峰のレベル。幼少期から憧れたメジャーを初めて肌で感じた思い出を喜々として語っているときの笑顔は野球少年のようだった。