世界の24年銅地金需給、38万7000トン供給過剰。価格は7000~1万1000ドルで推移ーPPC予測
パンパシフィック・カッパー(PPC)は、2024年の世界銅地金需給バランスを38万7千トンの供給過剰と予測している。23年は13万1千トンの供給不足となる見通し。ただ、今回の予測にはコブレ・パナマ銅鉱山の閉鎖影響などは織り込んでおらず、実際には需給均衡から不足バランスになる可能性もある。価格面では需給緩和などを前提とすれば23年の価格からやや弱含む可能性もあるが、需要が堅調に伸びている中で供給障害による供給懸念が意識されればレンジを切り上げる要因となる。24年の銅価格はトン7千~1万1千ドルのレンジで推移すると予測した。 24年の銅地金需給は、供給量2703万トン(前年比5・6%増)、消費量2664万3千トン(同3・6%増)と予測した。供給面では製錬所の新設・増強などで中国、インド、インドネシアなどが増産になると想定。ただ、インドとインドネシアの新規製錬所稼働による増産が本格化するのは25年以降になるとみられ、24年の供給への影響は限定的と見る。また、24年は鉱石需給の不足感が増すと予測されるため、地金生産の下振れ要因となる可能性がある。 さらに、今回の予測に反映していないコブレ・パナマの閉鎖影響や南米の鉱山問題による鉱石供給障害も供給に影響する可能性がある。コブレ・パナマはパナマ政府から閉鎖命令が出されており、短期間での操業再開は困難とみられる。同鉱山の生産規模は36万5千~38万5千トンほどあり、同鉱山の操業停止が長期化すれば銅需給に大きな影響がある。 需要は、中国は23年が比較的好調だったため、24年はその反動影響などで23年並みの需要になると想定。一方、インドや東南アジアでは高い成長率を見込む。既存用途であるインフラ関連の需要に加え、中長期的に電気自動車(EV)や再生可能エネルギー関連の需要拡大が続くと見る。 銅価格については、地金の需給緩和や、中国の不動産問題を起因とする景気減速、米国の金利高止まりによる景気悪化などが顕在化すれば下押し要因となる。一方で、上振れ要因としては鉱石供給障害による地金生産への影響、米国の利下げと経済のソフトランディング、中国の財政支援策による景気の下支えなどを想定する。 中長期的には世界的なEV・再エネ関連の需要拡大のほか、インドや東南アジアでの需要拡大、新規鉱山案件の不足などから銅需給は不足バランスに向かうとの見方が強い。新規鉱山投資を促すには銅価格8千ドル程度が必要との見方もあり、長期的には銅価格1万ドルに向かって上昇していくと見ている。