中6日に耐えられぬ「ガラスのエース」佐々木朗希 虚弱体質の右腕はそれでも海を渡るのか 鬼筆のスポ魂
右上肢のコンディション不良で出場選手登録を抹消されたロッテ・佐々木朗希投手(22)について、吉井理人監督(59)は最短での再登録が可能な23日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)での復帰を見送る決断を下した。吉井監督は「前回も2週間空けて投げて同じ症状だった。投げられないこともないと思うが、それだと彼のパフォーマンスも上がってこない」と述べた。 【写真】ロッテ・佐々木朗が完全試合を達成した直後のロッカー室の様子 コンディション不良で回復も遅い体質だから無理して投げさせる必要はない、無理強いをして深刻な故障を招きたくない-。佐々木の状態と監督発言だけを切り取れば引っかかる話ではないが、背景を見れば見るほど現在の状況が心の中にストンと落ちなくなる。今季、2005年以来のリーグ優勝を願う熱烈なファンの気持ちはどうなのか…。 ■規定投球回クリアせず 佐々木はプロ5年目を迎えた今季、9試合、59回⅔を投げて5勝2敗、防御率1・96。投げれば結果を残すが、とにかく〝故障〟が多い。 2試合続けて中6日での登板となった5月24日のソフトバンク戦(ゾゾ)で7回1失点と好投。4勝目を挙げたが、上半身の疲労回復の遅れにより、28日に登録抹消された。中14日空けて6月8日の広島戦(マツダ)で復帰登板し、6回3安打9奪三振で勝ち投手になったが、5日後に再び右上肢が不調に陥った。昨季は左脇腹肉離れで15試合の登板(7勝4敗)に終わっており、4年のキャリアで規定投球回に到達したことは一度もない。 球界には昔から「ガラスのエース」という言葉がある。球質は一級品なのに身体の弱い投手は過去にもいたが、今季の佐々木に限れば様子が違って見えてしまう。 ■強硬姿勢がほぐれた理由 佐々木は1月27日、12球団の選手の大トリで契約を更改(現状維持の年俸8千万円)。更改後の会見では「将来的に大リーグでプレーしたい思いがある」と大リーグ挑戦の意向を口にした。契約更改交渉でもめた理由も、ポスティングシステムによる大リーグ移籍願望を引っ込めなかったからだ。『大リーグに行かせてやる』と2年前の契約更改の席上、球団幹部から約束されたと主張した様子で、強硬な姿勢を崩さなかった。ではなぜ矛を収めたのか-。球界関係者はこう指摘する。 「佐々木と代理人、球団は握った(約束した)んだ。ロッテは今オフのポスティングシステムを利用しての大リーグ移籍を認めたということだ」