新規事業を編み出すトレーニング: プロ野球アジアリーグを考えてみる
昨今はVUCAの時代、そして生成AIの時代といわれるようになりました。VUCAはよく知られている通り、「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の4つの頭文字で創った略語であり、先の読めない、常に変化しつづける時代を表す言葉として世界の共通語となっています。 また、半導体の発明に端を発して産まれ、数十年にわたって成長しつづけてきたIT産業がインターネット、クラウドやモバイルへと進展して行き、クラウドで集めたデータを基にした機械学習・深層学習の提案とトランスフォーマーの発明により、生成AIが加速的に進化したことで、私たちの生活や社会に対して、インターネットの登場のインパクト以上となっていることは否定できない事実でしょう。 こういった先が読みにくい環境の変化と基盤技術の加速的な進化のなかで、旧来のフレームワークや事業構造が陳腐化して、価値を提供しにくくなりつつあるのです。 2024年4月から営業開始した「オフィスちゃたに」にも新規事業や新領域の開拓・育成への相談が多く寄せられており、産業界においても新しい事業創造を行わないと、日本経済が縮小していく危機感が共有されつつあります。特にデジタルサービスにおいては、米国企業のサービスやプロダクトに依存せざるを得ない状況が加速的に進んでおり、いわゆる「デジタル赤字」の額が指数関数的に増えていると指摘もされています。 ただ、日本は第2次世界大戦での敗戦で多くのものを失った状態から、世界に伍する少なくない企業群を生み出してきた力を持っている国でもあります。失われた30年とか40年といわれる状態が継続していくことはないと信じていますが、そのためには、より多くの方々が新たな価値創造への挑戦を行う環境が重要だと考えています。 とはいえ、急に新規事業・新産業を産み出せといわれても、どこから始めてよいかわからず困るでしょうから、このコラムでは身近なテーマを題材にして、新産業を産み出す机上トレーニングを提供してみます。 数ある日本のプロスポーツのなかで、プロ野球は人気のスポーツであることは間違いありません。現在、プレミア12という12カ国・地域のチームでの対抗戦が開催されています。横浜DeNAベイスターズが前身の横浜ベイスターズ時代の1998年以来26年ぶりの日本一に輝いた日本シリーズ後は、来シーズンに向けた日本国内球団間での移籍や米国大リーグへの移籍の話題が日々メディアで話題になっています。 日本の人口は今後急激に減っていくことがほぼ確実となっているなか、国内市場だけでプロスポーツを開催していては、人口減に比例して、観客数も減少してしまいかねません。では、今後この日本のプロ野球が成長を維持するにはどうすればよいかを机上検証してみましょう。