子どもが大きくなったので、「月収20万円」ほどでパートを考えています。「社会保険料」が数万円引かれるのを“もったいない”と感じるのですが、将来の年金額が増えるならお得でしょうか?
収入を増やしたくても社会保険料の負担が発生するため、仕事を制限している人もいます。これがいわゆる「年収の壁」です。しかし、社会保険料を負担することは、将来の年金を増やせるため、デメリットだけではありません。 そこで本記事では、社会保険料の負担と将来増える年金を比較し、何歳で得になるのかについて解説していきます。 ▼扶養内で働いてるけど、労働時間が「週20時間」を越えてしまった!「社会保険」に加入する必要はある?
年金保険料は月に約2万円の負担に
社会保険に加入することで負担となる社会保険料は、「健康保険料」と「厚生年金保険料」の2つです。本記事では、将来増える年金額との比較をするので、厚生年金保険料の負担のみを計算していきます。 年収の壁の1つに、106万円の壁があります。以下の要件を満たすと社会保険に加入する必要があります。 ・週の勤務時間が20時間以上あること ・働いている期間が2ヶ月を超える見込みがあること ・学生でないこと ・給与が月8万8000円以上であること ・従業員が101人以上の企業であること(令和6年10月からは51人以上) 5つの要件の中の1つに「給与が月8万8000円以上」とあり、これを12ヶ月分にした106万円が社会保険料を支払う基準となっているのです。 事例のように月20万円の収入の場合を考えると、年収は240万円になります。社会保険の加入要件を満たすので、保険料を支払わなければいけません。この場合の厚生年金保険料は「東京都在住で40歳」だとすると1万8300円です。
20年間働いた場合は年金を月額約2万円増額できる
社会保険加入のメリットに年金を増やせることがあります。社会保険に加入して厚生年金保険料を支払うことで老齢厚生年金の受給対象となるので、将来受け取れる年金に老齢厚生年金を上乗せできるからです。 老齢厚生年金は、報酬比例部分、加給年金、経過的加算の3つで構成されています。その中で中心となるのが報酬比例部分です。ここでは簡易的に報酬比例部分のみで将来受け取れる年金を計算していきます。 報酬比例部分の計算方法は「平均標準報酬額×5.481÷1000×平成15年4月以降の厚生年金保険加入期間の月数」です。 例えば、事例にあてはめて40歳から60歳までの20年間働いたとすると、受け取れる年金は「20万円×5.481÷1000×240ヶ月=26万3088円」になります。年間で26万3088円なので、月額では2万1924円の増額です。