米最高裁、1600人の有権者登録取り消し認める 共和側の主張容認
米連邦最高裁は10月30日、大統領選(11月5日投開票)を巡って、南部バージニア州当局が市民権(国籍)を持っていない可能性がある住民約1600人の有権者登録を取り消すのを認める判断を示した。共和党のトランプ前大統領の陣営は「市民権のない移民が有権者登録している」と訴えており、最高裁の判断は共和党主導の「審査厳格化」を容認した形だ。 バージニア州のヤンキン知事(共和党)は今年8月、有権者登録と運転免許証などのデータを照合し、市民権がない可能性のある住民の有権者登録を取り消すよう指示した。しかし、民主党のバイデン政権は「州が組織的に不適格者を取り消す作業は選挙の90日前までに終えないといけない」との連邦法の規定に基づき、州の取り組みは違法だと提訴していた。 1、2審はバイデン政権側の訴えを認めたが、連邦最高裁は州側の訴えに基づき、下級審の判決の執行を差し止めた。最終的な判断は先送りしたが、今回の大統領選では対象の住民の登録は取り消される。 米メディアによると、運転免許を担当する車両管理局のデータが実態に合っていない例があり、登録が取り消された中には市民権のある住民も含まれている。こうした住民は改めて有権者登録すれば、今回の大統領選には投票できる。 一方、大統領選の激戦州である東部ペンシルベニア州の裁判所は30日、トランプ陣営の訴えを受けて、バックス郡の郵便投票の受け付けを3日間延長するよう命じた。トランプ陣営は「列に並んでいた有権者が不当に受け付けを拒まれた」と主張していた。 今回の大統領選では、他にも郵便投票や在外投票の扱いを巡って各地で訴訟が起きている。トランプ陣営は選挙の実施方法が「公正ではない」との訴えを強めており、落選した場合には2020年大統領選に続いて「選挙が盗まれた」と主張する布石を打っている。【ワシントン秋山信一】