2025年にアメリカが景気後退に陥る確率は0%…その代わりに心配すべきこと(海外)
アポロのチーフエコノミスト、トルステン・スロークは、2025年にアメリカで景気後退が起こる可能性は低いと述べている。 2024年の経済成長は予想以上で、強い消費支出がその主な要因だったという。 2025年の主なリスクについてスロークは、関税、エヌビディアの収益、インフレの再燃による金利の上昇などを挙げている。 アメリカの大手投資会社アポロ・グローバル・マネジメント(Apollo Global Management)のチーフエコノミストであるトルステン・スローク(Torsten Slok)は、2024年12月23日のメモで、2025年にアメリカで不況が起こる確率は0%だと述べた。 彼は、「2025年の世界市場における注視すべきトップ12のリスク」を発表したが、その中に重大な経済の後退は含まれていなかった。 2024年は2023年に実現した成果を基に、さらに強い経済成長を遂げた年となった。アメリカのGDPは2024年にほぼ3%の成長を遂げる見込みで、経済は約200万人分の雇用が増えている。 全体として、ほとんどのエコノミストたちは驚いている。彼らの多くは2024年に向けて経済の減速を予測していたが、実際には経済は加速した。 「アメリカ経済は2024年、消費者支出の堅調な成長に支えられ、予想よりもはるかに速く成長した」と、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)のチーフエコノミストであるヤン・ハッツィウス(Jan Hatzius)は12月半ばに発表したメモで述べている。 では、不景気が到来していない今、投資家は何を心配すべきなのだろうか。 アポロのスロークは、多くのことを挙げている。彼のリストのトップには関税が挙げられており、ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期大統領の政権下において、新たに関税が導入される確率は90%だと予想している。 トランプは選挙戦中に何度も関税を脅しの材料として使い、選挙に勝利した後はその脅しを強化している。特に、アメリカの最も近い同盟国であるカナダとメキシコに対しても関税を課す意向を示した。 2025年の株式市場にとって、もう一つの大きなリスクは、「エヌビディア(Nvidia)が投資家の『膨らむ期待』に応えられない決算を報告することだ」とスロークは述べており、その確率は90%だと予測している。 そのような予想を下回る決算は、市場にとって大きな問題となるだろう。エヌビディアは時価総額世界第2位の企業であり、投資家は2024年11月末に同社が発表した2024年第3四半期の結果を受け、その影響がどのようなものかをわずかに垣間見ることとなった。 このAIチップ企業の利益は予想を上回ったものの、今後の見通しがウォール街の高すぎる期待に応えられず、その結果、翌週には株価が10%下落した。 スロークが注目する上昇リスクは、アメリカ経済のさらなる加速、投資家の強気な動き、そして企業合併やIPOの活発化だ。これらのシナリオが発生する確率は75%から85%だと彼は述べている。 しかし、2025年の株式市場で最も大きな下振れリスクは、インフレの反動によってアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が金利を引き上げることだ。投資家たちは2025年に金利が2回引き下げられると見込んで取引をしているため、この予想が外れた場合、彼らに衝撃をもたらすだろう。 「アメリカのインフレが2025年第1四半期に加速し、強い経済、関税、移民制限、季節の要因によってさらに引き上げられる」というシナリオが40%の確率で起こるとスロークは予測している。 彼はそのシナリオによる波及効果、すなわち、FRBが金利を引き上げ、2025年の年半ばに10年物米国債の利回りが5%を超えるという可能性も40%だと予測している。 2025年には、経済がどれほど耐久力があるかはまだ分からないが、スロークのリスクのリストを注視することで、市場が2025年にどこに向かうかを投資家は見極めることができる。
Matthew Fox