清水港白タク事件 SNSで利用募る? 逮捕の男、船旅客の実情悪用
清水港に停泊した大型クルーズ船の乗客に無許可でタクシー営業(白タク行為)をしたとして、外国人ドライバーの男2人が道路運送法違反(有償運送の禁止)の疑いで清水署と県警交通指導課の合同捜査指揮室に現行犯逮捕された事件で、ドライバーの男らはSNSを使って「白タク」の利用を幅広く募っていたとみられることが29日、関係者への取材で分かった。 外国人乗船客は、白いナンバープレートで営業する「白タク」の違法性をはじめ、寄港先の観光地情報について詳しく理解していないケースが多い。寄港前に船上からスマートフォンで検索し、見つかったドライバーと連絡を取り合った上で依頼した可能性がある。合同捜査指揮室はドライバー側がこうした船旅特有の依頼システムを悪用し、同じ言語が話せる外国人らを主な客として獲得していたとみて捜査を進める。 パキスタン国籍で自称静岡市葵区羽鳥の職業不詳の男(28)は28日、国交省の許可を受けずに、同市清水区の清水港日の出埠頭(ふとう)で自家用ミニバンに米国人6人を乗せて、富士山周辺など山梨県内の観光地を経由して帰着するまでの間、運賃を得る契約で運行したとして現行犯逮捕された。ベトナム国籍、愛知県弥富市鯏浦町、派遣社員の男(31)も同日、中型マイクロバスに米国人10人を乗せ、ほぼ同じ行程で「白バス」行為をしたとして現行犯逮捕された。 合同捜査指揮室は、28日朝に日の出埠頭を出た2台が観光地に到着したところでドライバーらに接触。同時に乗客らにも事情を聴き、予約手続きや支払い方法などを確かめた上で立件に踏み切ったとみられる。 日の出埠頭では、「緑ナンバー」を付けた正規のタクシーや観光バスが一日観光を希望する船客を乗せて運送しているが、「無許可でタクシー営業している車両がある」といった通報を複数受けた県警が合同捜査指揮室を組み、港内外で内偵捜査を進めてきた。
静岡新聞社