廃棄パン ビールで復活 富山・井波のパン店、食品ロス対策で新たな試み
富山県南砺市山見(井波)のパン店「LAW(ロー)」は、井波地域のクラフトビール醸造所とタッグを組み、廃棄されるパンと麦芽を混ぜ合わせて醸造したクラフトビールを商品化した。ローの店主、大田直喜さん(42)は「廃棄パンを使った醸造は国内では珍しい。食品ロス削減や循環への取り組みにつなげたい」と話している。 大田さんは富山市出身。地産地消や自然栽培にこだわった鳥取県のパン店で修業後、きれいな水や有機栽培農業が盛んな土地柄に加え、風情ある町並みにひかれ井波地域に移住。空き家を改装し、昨年4月にローを開業した。 店では県産の小麦粉や南砺産の無農薬野菜で天然酵母のパンやサンドイッチ、ピザなどを製造。試作品や調理過程で失敗したパンを子ども食堂に提供するなど、食品ロス削減にも取り組んでいる。 鳥取県の修業先が廃棄されるパンを活用したビール醸造を手がけていたことから、井波地域でも挑戦したいという思いを抱いていた。ビール造りの道を模索する中、同じく井波地域で開業したクラフトビール醸造所「NAT.BREW(ナット・ブリュー)」と知り合ったことで、念願の開発が決まった。
麦芽に廃棄パンを混ぜ合わせ麦汁をつくり、レーズン酵母を加えて発酵させることでビールを醸造。シンプルな素材を使い、フルーティーでやわらかい味わいに仕上げた。廃棄パンがゾンビのように復活したことになぞらえ、商品名は「ZOMBIE OF THE BREAD」と名付けた。ラベルにはパン形の愛らしいゾンビの絵柄をデザインした。 大田さんは「満足のいく出来栄え。このビールを通じて取り組みの間口が広がればうれしい」と話した。瓶は1本330ミリリットル入りで770円。ローとナット・ブリューの店頭で販売している。